約 3,642,637 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/326.html
短いけど書いてみた。 「ゆっくり相撲」 最近里の子供達の間ではやっている遊びがある。 「ゆっくっゆぎゅれいむゆっくりおちていってね!」 「ゆぶっゅべっゆっぶっまりさこそゆっくりおちていってね!」 里の寺子屋、裏返したタライの上で二匹のゆっくりが互いを押し合っている。 といっても別に発情しているわけではない。 虫の代わりにゆっくりを使った「ゆっくり相撲」をしているのだ。 周りを里の子供達が取り囲み「つぶせっ」だの「おしだせ!」だのと囃し立てている。 ゆっくり相撲とは、種類の違うゆっくりを捕まえて来て取っ組み合いをさせる遊びだ。 「ゆっくりできる場所を教えてあげる」「美味しい食べ物をあげる」等といえば殆どのゆっくりは疑いもせずついて来る。 その後タライに乗せ「押し合いをして、勝った方には特別なご馳走をあげる」と言えば、割と簡単に押し合いを始める。 時々、言う事を聞かずご馳走だけを強請って五月蝿いゆっくり達もいるが、全員で蹴り飛ばしながら脅せば大概言う事を聞くのである。 今日捕まえてきた二匹はどうやら親友同士らしく 連れてくる途中「ゆっくりたのしみだねー」「どんなところでゆっくりできるんだろうねー」と声を掛け合っていた。 だが、子供達はゆっくりさせる気もなければご馳走をあげる気もない。 負けた方のゆっくりを勝ったゆっくりに特別なご馳走として無理やり食べさせるのである。 この間は姉妹同士のゆっくりを争わせた。 勝ってご馳走が食べれるとはしゃぐ姉、ずるいずるいと騒ぐ妹。 ご馳走をあげると言い、互いを向き合わせ、目の前で妹を踏み潰してやった。 目の前で潰され、息絶えた妹ゆっくりを見て半狂乱になる姉ゆっくりを見て大笑いをしながら、潰れた妹を無理やり食わせる。 「い”も”う”と”を”か”え”し”て”ぇ”ぇ”ぇ”」「ゆ”っ”く”り”で”き”な”い”ぃ”ぃ”」だのと喚き散していたくせに、口の中に捻じ込むととたんに「うっめ、メッチャうめ!」「しあわせー」と喜ぶゆっくりを指差して腹を抱えて笑った。 あの後、日が暮れるまで残った姉を皆で蹴り回して、適当な木の枝に刺して帰った。 次の日に鞠代わりに蹴り飛ばして遊ぼうと木を見たら木の根元に少量の餡子とリボンが落ちていた。ゆっくりれみりゃにでも食べられたのだろうと皆で残念がった。 「ゆゅっゆっおちちゃうよっゆっくりおちちゃうよっ」 「ゆっくりおちてね!ゆっくりおちてね!」 もうすぐ勝負がつく。ご馳走にありつくゆっくりも決まりそうだ。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/380.html
「ゆっ、ゆぐっ、ゆっ…」 「おかあさん、ゆっくりがんばってね!」 「わたしたちもてつだうからね!」 土を口に含んでは別の場所へ吐き、口に含んでは別の場所に吐き…。 ゆっくりれいむの一家は、穴を掘っていた。 手が無いゆっくり達にとって穴を掘ることは容易ではない。 口の中は土だらけになり、口の周りを汚しても掘り続けるゆっくり達。 子供達のため、ゆっくりするため。 おかあさんを手伝うため。 れいむの一家は全員、力をあわせて土を欠き出す作業を延々と繰り返していた。 どのくらいの時間が経過しただろうか。 「ゆっくりできるおうちがかんせいしたよ!」 「これでゆっくりできるね!」 「しあわせー!!」 ついにれいむ達の穴、いや家が完成した。 家といっても、ちょっと掘り進んだところに部屋が一室あるだけの粗末なものである。 それでも、自分たちの力で家を作ったことが、そしてこれで外敵を気にせずにゆっくりできることが嬉しかった。 「これできょうもあしたもずっとゆっくりできるね」 「ずっとゆっくりしようね」 翌日。 「それじゃあゆっくりごはんをとりにいこうね!」 家の中で安心できる一夜を過ごしたれいむ達は、早い時間から家を出た。 きょうもあそこにたくさんやさいがあるといいな。 そう考えてれいむ達が向かった先は畑であった。 そもそも、新しい家を作ろうとしたきっかけはこの畑なのである。 この一家は昨日、畑で野菜を食べていた。もちろん無断である。 子れいむ達がむしゃむしゃ食べている中、遠くから男がやってくるのを一早く発見した母れいむ。 人間の怖さを知っていた母れいむは、一家でどうにか逃げ切ることが出来た。 奇跡にも近い所業である。 そして母れいむは考えた。 あそこのちかくにいえをつくれば、だれもいないときにごはんがたべられる。 そして穴を掘り、今に至るれいむ達。 畑に差し掛かったあたりで、昨日は無かったものを発見した。 そこには「ゆっくりたちのごはんです、ゆっくりいえでたべてね!」と書かれた看板。 丁寧なことに、高さをゆっくりが読める位置まで下げてある。 そして、中にそれらしきものが詰まった風呂敷であった。 「ゆっ? ここにゆっくりたちのごはんがあるよ?」 「ゆっくりもってかえろうね!」 「はやくおうちでたべようね!!」 れいむ達は何の警戒もなしにその風呂敷を持って帰った。 風呂敷をみんなで頭の上に置いて、非常に仲睦まじそうに運んだ。 家からこの風呂敷を見つけるまで約3分。 既に、昨日野菜を食べた畑のことは忘れていた。 「ゆっくりただいま」 「ゆっくりおかえり」 「きょうもゆっくりできるね」 「ゆっくりごはんをたべようね!」 家に帰ってきてただいまを言う者、なぜかおかえりと言う者。 みんなウキウキと家に帰ってきたが、興味はやはり拾った風呂敷。 開けてみると、そこには一口サイズの、丸い饅頭のようなものがたくさん入っていた。 もっとも、ゆっくり達にとって、人間の一口サイズは少々大きいものであったが。 「おいちそうだね! ゆっくりいただちます!!」 そう言って真っ先に喰らいついたのは赤ちゃんれいむ。 昨日の疲れが残っていたせいもあるのだろう、それをきっかけに妹れいむ・姉れいむ・母れいむと次々に食べていった。 「うっめ、めちゃうっめ」 「はふっ、はふっ」 「あまくておいちー!!」 次々と平らげていくれいむの一家。 見る見る数を減らしていき、10分後には何も残っていなかった。 「「「「しあわせー!!」」」」 「ちあわ…うっ…」 みんなで食後の幸せを噛み締める掛け声。 だがその中で、子れいむの様子がおかしかった。 「うっ…うっ、う゛ぼぅ゛え゛え゛っぇ゛ぇぇ゛ぇぇ゛ぇ」 まず一匹。 口から餡子を吐いた。 口を閉じようとしても止まらない。 助けを求めて母や姉のほうを見ても、事態を飲み込めていない。 致死量どころか全身の餡子といっていいほどの餡子の量を吐き出した子れいむは、皮だけのぺらぺらな状態になり絶命した。 「どうなっでる゛のぉぉぉ゛ごれ゛えっぇぇぇっ」 「どぼぉぅぢでえぇ゛ぇぇ゛ぇぇぇぇ゛ぇぇ」 「ごれじゃ゛あゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛ぉお゛ぉぉぉぉぉっ」 ゆっくりした家での食事から一転、完全にパニックに陥ったれいむ達。 そうして慌て驚き恐怖に慄いている間にも、 「ゆぐっ…ゆっ…ゆ゛ぐヴヴぉ゛え゛えぇ゛ぇぇ゛ぇ!!」 「げヴ゛ぉぉぉお゛ぇえぇ゛ぇっう゛゛ぇえ゛ぇ!!!」 「ぐぉ゛れじゃぅ゛ぁ゛ゆ゛っぐり゛でぎなぐぉぇぇっぇぇぇ!!」 「ゆっぐりう゛ざぁ゛ぜぇでぇ゛ぇぇ゛ぇぇえぇぇぇ!!」 次々と餡子を口から外へ排出していた。 自分の中から命とも言える餡子が消失していく感覚。 ほんの少し前までの家の光景はどこにもなかった。 幸せそうな顔もどこにもなかった。 「どぅぼぉぉぉぉじぃでぇぇー! どぅぼぉぉじぃでぇぇごん゛なごどずる゛の゛ー!! ゆ゛ぐっぐりぢだぃよ゛お゛ぉ゛ぉおぉ」 餡子まみれになった家の中で最後まで残った母れいむ。 しかしその叫びは誰にも届かない。 家族全員の亡骸を見ながら母れいむもまた、同じ運命を辿った。 「お、なくなってる。ってことはちゃんと効いたのか?」 男がそのことをチェックしたのは、昼過ぎのことであった。 「昨日はあいつらにしてやられたからな…餡子の匂いがする」 男はその匂いをたどっていった。 そして1つの穴を発見した。 「あいつら、こんな近くに巣なんて作りやがって。どれどれ、効果の程は…っと、おおすげぇ」 スコップで少し掘ってみれば、そこには大量の餡子とたくさんの皮が残されているのみであった。 それも、全員苦悶の表情を浮かべている。 「なんでもかんでも喰うからそうなるんだよ…ざまあみろってんだ」 そういうと男は皮を回収し、棒で突き刺した。仲良く一家全員である。 畑の一角にそれを立てると、男は農作業へと戻っていった。 「カラスの死骸をつるすって話は聞いたことあるが、ゆっくりの死骸は聞くのかなぁ。あいつらバカだし」 ゆっくりコロリ 人間が食べても害が無い(むしろ甘くておいしい)が、ゆっくり種が食べると短時間で毒が周り、餡子を吐き出し死亡する毒餌。 このとき、非常に苦しみに満ちた表情で死亡するのが特徴である。 原料は不明だが普通に食べることが出来るため、常備しておく家もあるとか。 ゆっくりへの看板セット付き。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/323.html
昼。 仕事を終えて家に帰る。 鍵を開けようとしたところ、もう開いていた。 泥棒かと思って中に入れば、ゆっくりがいた。 「ゆっ! おにーさん! ここはまりさたちがみつけたおうちだよ! ゆっくりでていってね!」 「「「でていってね!」」」 数えて四匹のゆっくりまりさがそこにいた。 何をしているかと思えば、食料庫に置いておいた食べ物を全部食われている。 ご丁寧に貴重な胡椒や塩もだ。 しかし、俺はこいつ等を無視して台所へ向かう。 台所も荒らされており、鍋やらヤカンやらが散乱していた。 俺はそれをかき分けて椅子に座る。 そこで近所の子から貰った昼飯の握り飯を頬張った。 「ゆ! なにしてるのおにーさん! はやくでていってね!」 台所にいる俺を見つけて親まりさがぷくっと膨れて怒る。 子供たちも真似するように小さく膨らんだ。 「別にお前達の邪魔をしてないからいいだろう、ここはお前達の家なんだから俺は家具だとでも思えばいいさ」 俺はそう言って飯を食らう。 まりさ達はそれが気に食わない様子だった。 「いいかげんにしてよ! ばかなの? おにーさん!?」 「ばかなの?」 「しぬの?」 非難を浴びるが、俺は冷静に返す。 「ああ、馬鹿だよ」 その言葉に、俺が自分達より格下だと判断したらしくまりさは調子に乗る。 「さすがばかだね! ここがだれのいえかわからないなんて! いきてるかちないんじゃないの!?」 普通、並みの精神の人間だったらここでどうしていただろうか。 間違いなく引きちぎって殺していたに違いない。 「そうかもな」 「ゆふん! ばかなおにーさんはここでのたれじんでね!」 俺をせせら笑ってまりさ達は自分達がいた部屋へ向かった。 飯を食い終えた俺は、取り合えず眠りにつく事にした。 夜。 目が覚めるとゆっくり達がぷるぷると震えていた。 饅頭らしくおしくら饅頭をして暖を取っているようだ。 春になったばかりの夜はとてつもなく寒い。 「ゆうぅ……ここでさむさをしのごうね!」 「あったかいよおかーさん!」 「だいじょうぶだよ!」 「ぬくぬくだよ!」 まりさ達はみんな親を心配させないように言う。 家族愛って奴だろうか。 俺は台所にしまってある毛布を使い、それを服の中に仕込んだ。 そのまま掛けて寝れば、ゆっくり達に奪われるかもしれない。 多少動きづらかったが、晩御飯の準備をした。 今日は鹿のスープだ。 言い忘れていたが俺の職業は狩人で、山の近くで暮らしている。 そんな事はともかく、作業に移る。 調味料は食われていたため、お湯の中に山菜と鹿の茹でた肉が入ったような質素なものとなった。 しかし、それでもうまそうな匂いがするらしく、まりさ達が俺の元へやってくる。 「ばかなおにーさん! それをまりさによこしてね!」 無視。 するともう一度まりさが叫ぶ。 「おにーさん! それをまりさによ・こ・し・て・ね!」 よこせを強調するが、無視。 俺は体当たりされてスープを零されてはたまらないので、一気に飲み干す。 「どうしてくれないの!? なんで? いいかげんしんでよ!」 「俺はお前の家の一部で家具だ、家具はお前のためにご飯を作らないしあげもしない。それにお前はゆっくりだろ、自分で狩りくらいできるだろ」 その言葉にぐっと歯を食いしばるまりさ。 確かにその通りである。 まりさはゆっくりの中では知能があるほうで、狩りは得意なはずだ。 「おかーさん、おなかすいたよ……」 さむそうにしていた子まりさの一匹が親に言う。 親は憎しみの表情を浮かべて俺を睨んだ。 だが、無視。 「まぬけなおにーさんがごはんをくれなくてごめんね! あしたたくさんごはんをとってきてあげるからね!」 子供達は不服そうだったが、やがて親に従った。 (あの様子だと食料庫の中身全部なくなってるわけか) 俺はそう考える。 まりさ達的にはもう春が来ているようで、ご飯を溜め込むなんて事はしなくなる。 食べられるだけ食べる、というのがゆっくりの習性だ。 俺は早めに家を出る事にした。 朝。 俺が目を覚まし居間へ行くと、寒さに震えながらもすやすやと眠っているまりさ達がいた。 起こさないように猟銃を持ってすべての部屋の鍵を閉める。 そして俺は狩りへ向かった。 お昼ほどになって、俺は狩りをやめる。 そして、食料を調達するために里へ向かった。 里は相変わらずにぎやかだった。 そこで俺はあるお店を見つける。 店の名前はゆっくり屋という名前だった。 中に入ってみると、ゆっくりれみりゃがお迎えをする。 「ごんでぢわ! おぎゃぐざまはなんべーざまでづが!?」 鼻にかかる声で人数を聞かれたので俺は一人だと答える。 すると、ゆっくりれみりゃが少しほっとしたような顔をした。 「あ、いらっしゃいませ! こちらへどうぞ!」 後から店員がやってきて、俺を席へ案内する。 メニューを渡されて、俺は目を通してみた。 ゆっくりれみりゃの腕のハンバーグ。 子れみりゃの肉まん。 奇形子れみりゃの踊り食い。 ゆっくりれみりゃの足の丸焼き。 等と書かれていた。 俺はとりあえずハンバーグと肉まんを頼んでみる事にした。 数分経ってから、店員とれみりゃが俺の前にやってくる。 しかし、料理はなかった。 「いまからお客様の前でれみりゃの調理をします、ごゆっくりとお楽しみください。ほら、やれ」 店員が言うと、泣きべそをかいているれみりゃが自分の腕を台の上に置いた。 そして、あろうことが自分の腕を引きちぎったではないか。 「う゛ぐぎぎぎぎぎぎぎ!! い゛だい゛ー! ざぐやー! ざぐぐぇっ!?」 泣き叫ぼうとしたところ、店員に殴られるれみりゃ。 さらに指示されると、自分のもう片方の腕で腕を叩き潰した。 いい感じに余計な肉汁がこぼれる。 店員は満足そうな顔をしてそれを焼いた。 「はい、お待ちどうさまです」 「どうも」 俺はそれをいただく。 餃子の中身を食っているような味がした。 たしかにハンバーグといえばハンバーグだが。 次に用意されたのは踊ってやってきたれみりゃだった。 その上にはぱたぱたと子れみりゃがいる。 「う~☆ れみりゃのこどぼがわいいでそ~?」 俺がああ、と答えると腰に手を当てて尻を振る。 ダンスのつもりなのだろうか。 はたから見れば挑発してるようにしか見えない。 「いまですお客様、尻をはがしてください」 店員が言うので、俺はとっさにれみりゃのスカートを引っ張り、尻を丸出しにする。 別に子供と変わりないような尻だった。 かといって欲情したりしないが。 「う゛~なにするどぉー! れみりゃのぷりでーなおしりっがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 行ってる途中で悲鳴を上げる。 なにせ店員がナイフで尻の皮を切っているからだ。 一定の大きさに切り終えると、今度は親の前で子を叩き潰す。 「う゛ぎゅ!?」 「ぶぎゃっ」 間抜けな悲鳴がしたあと、台の上に肉の塊があった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! れ゛み゛り゛ゃのあがぢゃん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!」 それを無視して切り取った尻の皮に先程の子れみりゃの残骸をつめ、蒸篭に入れた。 しばらくたって、ほかほかと湯気が立ち上る蒸篭を開けるとなんと肉まんが完成しているではないか。 とても不思議だ。 そして何より吃驚したのがこれだ。 「ぅー ぅー」 小さな声だが、小刻みに震えながら声を出す肉まん。 かろうじて生きていた子れみりゃが再生し始めていたので、こんな風になるらしい。 よくかんで食べれば腹の中で再生することはないらしい。 俺はそれを美味しくいただき、勘定を払って店を出た。 また夜。 返ってくると瀕死のまりさがいた。 やせ細っていて、今にも死にそうである。 一日半食べなければ餓死するのか。 「おに、さん……ごは、ん、ちょうだ、いね……」 弱弱しい声を出すが、俺は無視する。 「このまま、じゃ、まりさたち……しんじゃう、よ……?」 「だから?」 俺は買ってきた物で料理を作る。 匂いに釣られて子供達もやってきた。 「それ、ちょ……だい」 「……」 俺は無視して飯を食う。 まりさたちは血眼になってそれを見ていた。 「お前達は自分で狩りができるんだろ? なら必要ないじゃないか、あと食料庫から食べればいいだろう」 鍵を閉めたのは俺だなんて眠っていたこいつらには分からない。 ただ、部屋から出られず、ただ衰弱していった。 「おかーさん……おなか、すいたよー……」 その言葉にまりさも限界が来たらしい。 歯を食いしばり、俺に飛び掛ってきた。 「えざよごぜえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 俺は銃を取り出し、飛び掛ってくるまりさの口に突っ込んだ。 「別にいいぞ、黒胡椒の飴を食わせてやってもいい」 黒胡椒の飴、つまり弾丸の事だ。 まぁ胡椒は発火に使うものだが。 「ゆぎぎぎ! よごぜ! よごぜぇ!」 喚くまりさを無視して、俺は飯を食い終える。 そして毛布を服に仕込んで寝た。 最初は、喚きたてるゆっくりがうるさかったが、段々と静かになる。 朝。 起きると、一家は死んでいた。 餓死と凍死だろう。 皆、死への恐怖に目を見開いている。 俺は、一匹を釘で指して壁に張り、ゆっくりが来ないようにする。 さすがに何度も来られては、こっちの身ももたない。 そして残った方は、今日の昼飯となった。 別に殺そうと思えば殺せる。 だが、こいつらのために体力を消耗したり、貴重な弾丸を無駄にしたくはなかった。 ゆっくりなど、所詮閉じ込めてしまえばいずれ死ぬ。 だから、余計な手は加えない。 俺はそう考えている。 居座ったゆっくりなど無視して生活すれば勝手に死ぬのだ。 俺は鹿を狙い打って、今日の晩御飯を手に入れた。 あとがき 皇国の守護者のパロディでもやろうかと思ったけど辞めた。 サーベルタイガーにでも食わせるかな? 新城ォォッ! このアフォが書いた作品 霊夢の怒らせ方 ゆっくりデッドライジング1~3 霊夢のバイト 慧音先生とゆっくり ゆっくりCUBE 書いた猟師:神社バイト このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2162.html
~あらすじ~ 人里で親をなくした子ゆっくり。 運良く人間に飼ってもらえることになったが そこは獰猛極まりない白き獣の巣だった! 果たしてれいむとまりさはゆっくりできるのか!? ゆっくりと小学校(後) 「ゆー・・・」 「おなかすいたね・・・」 とある小学校のウサギ小屋。 ソフトボール大のれいむとまりさが2匹、寄り添っていた。 「ゆ! うさぎさんがいけないんだよ!!」 「そうだよ! ゆっくりあやまってごはんもってきてね!!」 先程まで泣き叫んでいたことも忘れ立ち上がる(?)れいむとまりさ。 「Σ(・x・)」 「ゆっくりはんせいしてね!!」 「ゆっくりちんでね!!」 ぽすぽすと、ウサギに体当たりを仕掛けるが全く効いていない。 これが親ゆっくりだったら分からないが、子ゆっくりの体重ではダメージにならない。 ウサギは「(・x・)うわこいつらうぜえ」と思っているに違いない。 「ゆ! きいてるんだぜ!!」 ところで、ウサギは耳を触られるのを嫌がる。 「れいむたちのじゃまをしたばつだよ!!」 -がぶっ 自分の方が強いと勘違いし始めたれいむが、その耳に噛み付いた。 「!!(゜x゜メ)」 一瞬ロシアの死刑囚の顔面アップを幻視したが、気のせいだろう。 「はんせいしたらゆっくりごはんを(ガブ)ゆ゛・・・?」 「で、でいぶう゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅぅぅぅ!!!」 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛!! でいぶのびはだがあ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 木の柱ですら噛み砕くその前歯は、れいむの薄い皮をあっさり貫通した。 れいむとまりさはショックと恐怖から白目を剥きガクガク震えている。 幸いなことにれいむの傷は浅く、ウサギもそれ以上の攻撃をしなかった。 2匹の子ゆっくりは、ウサギから出来るだけ離れるように小屋の角で寄り添う。 「ぺーろ、ぺーろ。いちゃいのいちゃいのとんでけー♪」 「ゆぅぅ・・・」 ウサギさんはゆっくりできない。 お姉さんに言って山に帰してもらうことも考えたが、 両親や姉妹が死んだときの経験から、外はもっとゆっくり出来ないと分かっていた。 れみりゃやふらんのような捕食種、 理性的な仮面を被ったレイパーありす、 何もしていないのに潰そうと追いかけてくる人間。 それに比べたらウサギさんは積極的に襲ってくる様子はないし、 お昼は食べられなかったけど、ここでは毎日おやさいさんを食べることができる。 2匹は話し合った結果、ウサギさんを刺激しないように もうしばらくこのおうちで暮らすことにしたのだった。 放課後。 「「むーしゃむーしゃ♪ しあわせぇぇぇぇ!!」」 飼育係がくれた野菜の他に、愛で派の生徒が持ってきた給食の残りなど 今まで殆ど食べる機会のなかった人間のご飯の味に、2匹はヘブン状態だった。 「おねえさん! とくべつにれいむとすりすりしてもいいよ!」 「よしよし♪」(なでなで) 「ゆゆーん♪」 頬の傷はすっかり治っていた。 「ここはゆっくりできるところだね!!」 「ゆっくりしようね!!」 「「すーりすーり♪」」 夜。生徒達が帰った後、子ゆっくりはこの上なくゆっくりしていた。 虐待派の人間が見たら小屋を蹴り飛ばしたくなる光景である。 「にんげんさんのごはんおいしかったね!!」 「おねーさんについてきたけっかがこれだよ!!」 「「ゆゆーん♪」」 ゆっくりたちの夜は、穏やかに更けて行く。 「しゃんはい、ビールもってきてー」 「しゃんはーい」 お風呂上りの愛子先生がテレビの電源を入れる。 ちょうどニュースをやっているようだ。 教師に情報収集は欠かせない。 体罰に対する世論、いじめや自殺にモンスターペアレント。 ゆっくりの餡子脳に耐えられずブリーターの道を挫折したが、教師も楽じゃない。 「しゃんはい!」 「ありがと、しゃんはい」 「しゃんはーい♪」 そういってしゃんはいから缶ビールを受け取る愛子。 この金髪に赤いリボンを結った胴付きゆっくりは、ゆっくりしゃんはいと呼ばれている。 言葉を操ること苦手だが、賢こさと器用さを持ち合わせ、主人と認めた者に従順。 その為、愛好家からの人気は非常に高く、現在では希少種中の希少種とされている。 愛子はブリーダー時代に所属していたある団体のコネで ゆっくりしゃんはいを入手し、以来ずっと一緒に暮らしている。 『ゆっくりんピースがゆっくり餡横領疑惑の証拠品として、 運送会社倉庫から荷物を無断で持ち出した事件について・・・』 「ブッ!?」 「しゃ、しゃんはい!?」 かつて愛子が所属していたゆっくり保護団体が、 運送会社からゆっくりの餡らしき荷を盗み食べたらしい。 「頭がおかしいとしか思えないわね・・・。抜けて良かった」 「しゃんはーい・・・」 『今回の調査の中で私達も食べる行為をしないといけなかったので、食べました。』 「マジキチ」 「バカジャネーノ」 その後も証拠品としての餡子やゆっくりのデスマスク等の映像が流れていた。 その頃、ウサギ小屋。 「ゆー。おなかすいたね」 夕方思う存分食べたが、食欲旺盛なゆっくりの中でも成長期の子ゆっくりの食欲は強い。 「おやつがたべたいね!」 放課後は大勢の生徒構ってもらえたが、夜の学校に生徒はいない。 さっさと寝てしまえば良さそうなものであるが、環境が変わった為か寝付けないでいた。 -モグモグモグ 「ゆ・・・?」 何やら音のする方を見ると、ウサギさんが何かを食べていた。 「ゆゆ! うさぎさんなにたべてるの!?」 「まりさたちにもわけでほしいんだぜ!!」 昼間の一件を覚えているようで、(これでも)控えめに分け前を要求する。 「(・x・)」もぐもぐもぐもぐ 無視。 「「ゆうぅぅ・・・」」 暴力に訴えればどうなるかは経験済みの為、それはしなかった。 「ゆ! よくみるんだぜれいむ!」 「ゆゆ?」 今ウサギが口に入れたものと同様のものが、いくつも転がっていた。 「ゆ! いっぱいあるよ!!」 「ひとりじめはよくないんだぜ!!」 そういって子ゆっくりは、その黒くて丸みをおびた塊を舌で掬い、口に運んだ。 それがどんな食べ物なのか知らなかったが、 ゆっくりは雑食性だし、何よりうさぎさんも食べているので深く考えなかった。 「「むーしゃ、むーしゃ、むーしゃ、むーしゃ♪」」 「「むーしゃ、むーしゃ、うーん、それなりー♪」」 おさやいより歯ごたえのあるそれをいくつか食べ、とりあえず満たされたようだ。 しかしゆっくりは見てしまう。 「ゆゆ、うさぎさん、うんうんならかくれてやってね!!」 「しゅうしちんがないの!? ばかなの!?」 ウサギの排泄シーンを。 それを見て何かに気づいたのか、れいむとまりさの顔が、徐々に青ざめて行く。 「ね、ねえまりさあれって・・・」 「・・・」 まりさは歯をむき出してガタガタ震えている。 そして、 「「う゛ん゛う゛ん゛たべぢゃったの゛お゛お゛お゛お゛ぉぉぉ!!!!?」」 ゆっくり理解した。 ウサギは通常の食事では摂ることの出来ない養分を摂るため 盲腸フンと呼ばれる、特殊な糞を食べることが知られている。 もちろんゆっくりはそんなことは知らないし、 ウサギの糞が余り臭くないというのも判断を誤らせた原因である。 ちなみにゆっくりが食べたのはただの糞だった。 「おげえ゛え゛ぇえ゛ぇぇぇ!!」 「きちゃないよおおぉぉぉぉぉぉ!!!」 慌てて吐き出そうとするが、もう遅い。 ゆっくりはまともな消化器官を持たず、 食物を嚥下した時点で餡子に変換する性質を持っている。 いまさら何をした所で、出てくるのはせいぜい命の源の餡子だけである。 「「きぼちわる゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛ぃぃぃぃ!!!」」 そして よ が あけた! 初日こそ様々なトラブルがあったが、 それからの生活は実にゆっくりとしたものだった。 外敵に襲われる心配がなく十分なエサがもらえるのは変わらない。 小屋でゆっくりするために必要なことを学び、 ウサギさんとの共同生活にも慣れて行った。 大家族の中で2匹だけ残った子ゆっくりは、元々優秀な個体だったのかもしれない。 「「ゆっくりしていってね!!」」 「ゆゆ、うさぎさん、きょうもゆっくりしてるね!」 「きょうのおやさいはなんだろうね!」 「(・x・)」 ウサギさんは相変わらず何も喋らないが、仲良くなれたと2匹は思っている。 2匹がウサギ小屋に来てから1ヶ月が経った。 れいむとまりさの体は、野生のゆっくりの数倍のスピードで大きくなった。 拾われた時にソフトボール大だった体は バスケットボール大にまでなり、子供がいてもおかしくない大きさだ。 大勢の生徒に甘やかされた結果がこれである。 「今日で飼育係も終わりか・・・」 「最初は嫌がってたのに、やっぱ寂しいんだ?」 「べ、別に寂しいわけじゃ・・・!」 「会いたくなったらいつでも行けばいいと思うよ~」 「う、うん・・・」 その夜。 「ねえ、まりさ」 「なあに? れいむ」 「れいむはまりさとゆっくりしたいよ。ずうっといっしょにゆっくりしたいよ」 「ゆゆ! まりさもおなじきもちだよ! れいむとゆっくりしたい!」 「「ゆっくりしようね!!」」 プロポーズが成功し、ここに一組のつがいが誕生した。 人間以外では、同じ親から生まれた子同士がつがいになることは珍しくない。 (ゆっくりにとっては)長い間他のゆっくりに会わない状況ではむしろ必然といえる。 「「すーりすーり♪」」 想いを確かめ合い、親愛の表現をするゆっくりとゆっくり。 そこに湿った音が混じり始めるのに、時間は掛からなかった。 ※都合により、番組を変更してお送りしています。 『凍らせたゆっくりゼリーを男児が喉に詰まらせた事故を受け、 製造元は同シリーズを製造中止にすることを明らかにしました』 「マジキチ」 「バカジャネーノ」 「「すっきりー!」」 「「すっきりー!!」」 「「すっきりー!!!」」」 「ゆっくりしていってね! ・・・ゆ?」 目がさめた時、まりさはまず体の不調を感じた。 「(ゆうべは・・・ゆゆ! れいむにプロポーズされて、それから・・・?)」 隣にいるれいむに目を向ける。 「ゆゆっ!?」 れいむの頭には5本の細長い蔓が生えていた。 それを見た途端、まりさの体を覆っていただるさは吹き飛んだ。 「れいむ! れいむ!」 「んゆ? ・・・ゆっくりしていっていってね!」 「ゆっくりしていってね! れいむ! あかちゃんができたよ!!」 「ゆ! まりさにもいっぱいはえてるよ!!」 「ゆゆ! そういえばなんだかあたまがおもいよ!」 違和感の正体に気づくまりさ。まりさにも5本の蔓が生えていた。 「れいむたちのあいのけっしょうだね!」 「ゆゆ! はずかしいよれいむぅ」 まだゆっくりの形にはなっていないが、それは紛れもなく妊娠の証だった。 れいむとまりさは"今が"まさに幸せの絶頂だった。 ゆっくりの餡子脳には言葉の使い方や赤ちゃんの作り方など、 子孫を残す上で重要な情報が生まれつき記録されている。 が、正しい性教育を受けていないこれが異常だということに気が付いていなかった。 数分後。 れいむとまりさはぐったりしていた。 「ゆぅ・・・」 「なんだかゆっくりできないよ・・・」 それきり2匹は黙り込んでしまった。 まりさは忘れていただるさが重みを増しながら圧し掛かかってくるのを感じていた。 先に原因に気づいたのはまりさだった。 まりさとれいむは、十分妊娠に耐えられる体を持っていた。 だからこそつがいになったし、すっきりもした。 問題はその数だ。 通常ゆっくりはつがいのうち1匹が1本だけ蔓を生やす。 そうしないと母体や赤ゆっくりのエサが確保できなくなる為だ。 しかし子ゆっくりの時から十分過ぎるエサをもらっていた2匹は 先のことを心配する必要がなく、思う存分すっきりした。 その結果がそれぞれ5本ずつ生やした蔓である。 このままでは蔓に命を吸われてゆっくりできなくなる。 すぐにれいむに蔓を噛み切ってもらえば助かるだろう。 しかしまりさの中には子供を犠牲にして自分だけ助かるという選択肢はなかった。 ではれいむはどうする? れいむだけでも助けるべきか? 子供を犠牲にして? まりさは葛藤していた。 長い沈黙を破ったのはれいむだった。 「まりさ・・・。れいむはうむよ。れいむがゆっくりできなくたって、うみたいよ」 「れいむ、そんなの・・・! でも、まりさもおんなじきもちだよ!」 ゆーん、ゆーんという泣き声が、朝のウサギ小屋に響く。 生徒達が登校するまでにはまだ時間がある。 ゆっくりたちの皮は徐々に黒ずみ、 それぞれの蔓にはゆっくりになるつぼみが付き始めていた。 「きっとすごくゆっくりしたあかちゃんだよ・・・」 「あかちゃんはおねえさんたちがそだててくれるよね・・・」 「てんごくでもゆっくりしようね・・・」 「(・x・)」 「ゆ、うさぎさん。ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね」 何かを察知したウサギが、鼻をひくつかせながら2匹に近づいてきた。 ここに来た頃はあの鼻を見るだけでも目を回してたな、などとまりさは思い出に浸る。 「うさぎさん。れいむたちはもうすぐずっとゆっくりするよ・・・」 「まりさたちのあかちゃんとなかよくしいってね・・・」 2匹は確実に死に近づいて行った。 恐怖や苦痛がないと言えば嘘になる。 しかしたくさんのあかちゃんのため、ゆっくり死を受け入れていた。 -ガブ 「ゆ・・・?」 れいむの あたまの つるが うさぎに かまれた。 普段以上に思考の鈍っていたゆっくりは、目の前の事態に中々追いつけない。 「(・x・)」もむもむもむもむ... 「「ゆ゛!?」」 「うさぎさんなにするのぉ!?」 「やめて、やめてね! ゆっくりやめていってね!」 正気に返ったゆっくりが、必死に懇願する。 健康であれば力づくで勝てたかもしれないが 今は全身が黒く染まり、ひび割れ、はいずることもままならない。 「(・x・)」しゃくしゃくしゃくしゃく... 「やめてね! れいぶたちのあかちゃんたべないでね!? やめてええぇぇぇ!」 「それはおやさいさんじゃないよおぉぉぉ!? だいじなあかちゃんなのぉぉぉ!」 ウサギの勢いは止まらない。次々と蔓をかじられて行く。 ゆっくりの命の結晶ともいえる蔓は、とても栄養価の高い"食べ物"だった。 「(・x・)(はむっ! うっめ! これめっちゃうっめ!)」むしゃむしゃむしゃ... 「どぼじでごんな゛ごとするの゛お゛ぉぉぉぉ・・・・・・」 「ゆぎぃぃ! おともだちだとおもってだのにいぃぃぃぃ・・・・・・」 ウサギからしてみれば迷惑な同居人でしかなく、そもそも対等に見たことすらない。 「(・x・)」もきゅもきゅもきゅもきゅ... 「じにだぐな゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛・・・・・・・・・」 「もっど・・・ゆっぐ・・・し・・・・・・・・・が・・・ま・・・」 静かになった小屋の中にはウサギが1匹と 水の入ったトレーに藁、 それと黒くてまるみをおびたかたまりだけが残っていた。 おしまい このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2398.html
※厨なオリキャラ注意 ※もはやゆっくりじゃネエヨ的なゆっくり注意 ※ドス注意どころの騒ぎではない ※舞台が現代なのに蓮子・メリー以外の原作キャラ注意 ※れいぱー注意 ※何かもうやりたい放題注意 「しゃちょ~・・・なんで、私が貴女と一緒に山登りをせにゃならんのですか?」 「ん~、そうねぇ・・・そこに山があるからかしら?」 「意味が分からん!」 私はゆっくりカンパニーの系列店『ゆっくりショップ』でアルバイトをしている程度の普通の女子大生だ。 現在、何故かゆっくりカンパニーの(見た目は)若き(年齢不詳の)女社長と一緒に山を征服中。 一体何故、と訊かれても社長が何も語らない以上、私にも分からない。そもそも、社長と私には殆ど接点がない。 服装こそいかにもこれから登山!と言った感じのものになっているが、寝ている間に社長に着せられたものだったりする。 ついでに言うと、寝ている間の連れてこられたので、ここが何県にある何という山なのかも全く分からなかった。 それ故に釈然としない気持ちを彼女から渡された登山用のリュックと一緒に抱えながら、えっちらおっちら歩を進めていた。 「ふふ・・・素直で宜しい」 文句を言いながらもついてくる私を見て、社長は微笑む。 当の彼女の服装は八卦の描かれたどこかチャイナテイスト・・・のような気のする紫色のドレスで、とても登山向きではなかった。 なのだが・・・社長は年齢(不詳だけど)を感じさせない軽やかな足取りで、うふうふ笑いながら事も無げに先へ先へと進んでいる。 そんな彼女のウェーブのかかった艶っぽい金髪の揺れる背中を見つめながら、私は完璧超人っているものなんだなぁととしみじみ思った。 美人で、若くしてひとやま当て、あの体力で、きっと頭も良いのだろう。もっとも、真性の変人ぶりが全てを台無しにしているが。 「さあ、目的地まであと1200mよ、もちろん高さで。三次元を感じましょ」 「『しょ』じゃない。寝起き早々それは拷問・・・そもそも、ここ何処?」 「ひ・み・つ♪」 社長の口から飛び出したかなりあんまりな数字にため息を吐きつつ突っ込みを入れるが、当然全く相手にしてもらえない。 目元に胡散臭い笑顔を浮かべ、いつの間にやら取り出した扇子で口元を隠した、全く思考の読めない表情で私の様子を伺っている。 ここは何処なのか、何故登山をさせられているのか・・・などなど、私の問いはことごとくはぐらかされていた。 この質問をすること自体、もう何度目になるかも分からないような有様で、既に諦めてはいるけれど。 まともに回答を得られた質問と言えば「うちのゆっくりどもは?」というものくらいだが、今の私の置かれている立場を把握する上では何の意味もない。 「はぁ、酒でも飲みながらゆっくりするつもりだったのに・・・」 「肉体労働の後の一杯は最高よ?」 「理由の分からない強制労働でなければ、ね・・・はぁ」 暖簾に腕押し、柳に風、ぬかに釘・・・こういう諺は枚挙に暇がない理由が何となく理解できた。 きっと、昔の人もこういう偉い人の酔狂に振り回され、会話のドッヂボールに惨敗し、頭を抱えまくったんだろうな・・・。 相手がゆっくりというわけでもないのに会話が成立しないというのはなかなか煩わしく、私は心の中で毒づいた。 このゆっくり人間がッ!・・・と。いや、ゆっくり人間にどうこう言うつもりはないが。 「と、まあ、出発と終着の境界を飛び越えて、目的地に到着」 「何が飛び越えて、だか・・・あ゛ー疲れた~・・・」 4時間後。私と社長は苦労の甲斐あって無事目的の場所とやらに到着した・・・らしい。 何故「らしい」と付くのか?答えはいたって簡単で、ここが山頂ではなく、そこを目的として登山する理由が見出せないから。 山頂はまだ大分先で、右を見ても左を見ても木々が鬱蒼と生い茂るばかり。どう見ても道に迷ったとしか思えない。 道中を省略されてしまったので分からないかもしれないが、何度か質問はした。そして案の定、はぐらかされた。 「ふむ・・・なるほど・・・あらあら・・・」 で、今に至っては一人で辺りを見渡しながら、うんうんと頷きつつ、何か訳の分からないことを呟いている。 万が一にも実は「ふむ・・・なるほど、道に迷ったのね?あらあら、大変」なんて言っていたら、たとえ社長でも張り倒してやる。 そんな事を決心しながら、限界に近い足をゆっくりさせてやる為に近くにいたゆっくりに腰かけ、悠長な様子の彼女を睨め付けていた。 「ゆぐっ・・・」 ようやく一息つけたということもあって思わずため息が漏れる。さっきから漏れっぱなしのような気もするがこの際、気にしない。 「ゆっくりぃー・・・」 散々山道を歩き続けた私の足はもはや抱腹絶倒の大爆笑で、喉は乾季の砂漠の如くカラカラだった。 「ゆっくりしてよー!」 それに、無理矢理連れてこられたものだから朝ごはんも食べておらず、その事を思い出した途端にお腹の虫が鳴きだした。 「ゆっくりできないよぉー・・・」 腹の虫がまるで我が家で飼っているゆっくりどものようにゆーゆーと喚いてうるさいったらありゃしない。 「・・・・・・んあ?」 「ゆえーん!ゆっくりできないよおおおおおお!?」 「あら?」 私のお尻の下で泣いているのは一匹のゆっくりれいむ・・・・・・どうやら私は本当に疲れていたようだ。 そこにゆっくりがいると理解した上でゆっくりに腰掛けたのに、ゆっくりがいることを完全に失念していた。 かなり大きな個体で体高は70cmくらいはあるが、中身が餡子のクセに異様に軽いゆっくりの場合、体重は20kgあるかどうか。 なおかつ彼女達は非力だ。その上に2倍以上の体重があるであろう私が乗るとなると相当な苦しみを伴う。 「ゆえーん!ゆえーん!いだいよおおおおおお!?」 「・・・はぁ、参ったなぁ」 「あらあら、大変」 いや、大変というよりも面倒臭いんだよ・・・そう突っ込んでやろうと社長のほうを振り向くが、彼女は私に背中を向けて、あらぬ方向を見ていた。 そして、その視線の先には・・・何故か、社長を下膨れ饅頭風に、つまりゆっくり風にデフォルメした巨大ゆっくりがいた。 あれは確か『ゆっくりゆかり』、またの名を『ゆっかりん』と呼ばれるゆっくりだ。それにしても本当に馬鹿でかい。 念のために言っておくけど、1mやそこらの大きさじゃない。目測だが、5mを優に超える規格外の巨体である。 『ゆっかりんたちのゆっくりしたおうちからゆっくりいね!』 力強い怒声と共に社長をデフォルメしたような風貌の饅頭巨体が社長本人めがけて思いっきり突進してきた。 いくらゆっくりと言えどこのサイズになれば重さも相当なもの、1tを超える可能性だって否定できない。 流石にこれは不味いんじゃなかろうか?しかし、私が助けに入ってどうにかなるような状況でもないし、第一間に合わない。 しかし、多分原因が私にある以上、放っておくわけにも行かず、やれやれとまたため息をつきながら立ち上がったとき、社長は左手の掌を突き出して私を制止した。 そして右手の扇子を閉じると、巨大ゆっかりんに向かって掲げ・・・巨体の持つすべてのエネルギーを容易く受け止めてしまった。 厳密に言えば、扇子の先から発せられているくるくると回る不思議な光の壁によって膨大なエネルギーが無力化された。 『ゆっ・・・ゆゆっ!?』 「んなっ・・・?!」 「・・・貴女は囮。本命はあっちの子ね」 その美貌に相応しい、思わず聞き惚れてしまいそうな妖艶な声で囁く彼女の左手にはいつの間にかクナイが握られている。 そして私の、いや正確には私の後ろにいる何かを一瞥すると巨大ゆっかりんを制したその姿勢のまま、腕力だけでクナイを投擲した。 本来は工具だったと言われているそれが時速100km近い信じがたい速度で私の横をすり抜けて行く。 ありえない速さではないが、壁を這うゴキブリを赤ゆっくりで潰せる程度には野球やソフトボールの経験のある私の目にはそれはありえないものだった。 常識的に考えて、腕力任せの下手くそな投擲で、あんな速度を出せるはずがない。 『ゆぎゃ!?』 クナイが通り過ぎた直後、背後から短い、しかしはっきりと聞き取れる大きな悲鳴が聞こえた。 とっさに振り返った私の視線の先にいたものはもう一匹の巨大ゆっくり。こちらはまりさ種で、恐らくドスまりさと呼ばれるゆっくりだろう。 見るのは初めてだが、有名な巨大種だから、間違いない。最強のゆっくりと名高いそれが、たった一本のクナイで無力化されている。 舌を突き出して、ごろんごろんとのたうち回っては周囲の木々をなぎ倒し、自分の皮を傷つけていた。 『ゆゆっ!どうしたのまりさ!?』 『ゆぎぃぃぃいい!したがっ!したがああああ!?』 「ドスパークのエネルギーを充填しきる前に暴発させてもらっただけよ、死にはしないわ」 飄々と、今の社長にはそんな言葉が良く似合う。2匹の巨大ゆっくりを前にして、彼女の余裕に満ちた心も、衣服も全くと言っていいほど乱れていない。 ドスまりさは口内の火傷のせいで戦闘を続行できるような状態ではないし、巨大ゆっかりんも既に戦意を喪失していた。 全く状況を飲み込むことが出来ないが、一つだけ確かなことは私は今まで人外の何かから給料を貰っていたということだろう。 さて、どうしたものか・・・と頭をかいていると、今度は木々の陰から無数の通常サイズのゆっくりが躍り出てきて、社長めがけて石をぶつけ始めた。 「「「ゆっくりーー!!」」」 「どすをいじめないでね!」 「「ゆっくりできないよ!」」 「「「「「ゆっくりできないおねーさんはゆっくりどこかにいってね!」」」」」 小さな体をめいっぱい使って、あらん限りの力を振り絞って、口にくわえた石を投げつける通常サイズのゆっくり達。 相手は巨大種が2匹同時に挑んでも敵わない、まさに次元の違う強大な存在、ソレと対峙することが怖くないはずがない。 しかし、ゆっくり達は社長に睨まれ、怯みながらも逃げ出さずに果敢に投石を繰り返す。 もっとも、腰が引けているせいで殆ど届きさえしないし、届いたところであっさりと叩き落されているのだが。 「へぇ・・・こっちでよくもまぁ、これだけのゆっくりを集められたものね」 飛んでくる石の中から、当たるであろう石を瞬時に、かつ正確に見極めて、空いている左手でそれらを叩き落とす社長。 彼女の目は一見微笑んでいるように見えるが、「痛くも痒くもないけど向かってくるのなら仕方ない」という消極的な殺意が宿っている。 その殺意の外にいる私でも背筋が凍りついて、蛇に睨まれた蛙のように身動き一つ取れない。おお、怖い怖い。 『ゆゆっ!み、みんな止めるのよ!お姉さん、この子たちはゆっかりんを守ろうとしているだけよ!』 「言われなくても分かるわ、それくらい」 『だから見逃してあげてね!ゆっくり出来ないのはゆっかりんだけでいいのよ!』 「あら、何かしようってつもりはなかったのに、貴女から進んで研究対象になってくれるなんて、嬉しいわ」 「「「「「「ゆっかりんをゆっくりさせないおねーさんをゆっくりやっつけるよ!」」」」」」 最後の社長の言葉を聞いたゆっくり達は、投石による攻撃を諦めて体当たりを仕掛けようと接近する。 どう考えても投石のほうが効果的な気もするが、これだけの数がいるのなら案外押しつぶすことも出来るかもしれない。 もっとも、相手が巨大種の突進を容易く受け止めるような化け物でなければの話だが。 「・・・ゆっくりにしては勇敢ね」 リーダー思いのゆっくりを見つめる今の彼女からはいつの間にか殺気が消え、どこか慈悲深い笑みをたたえている。 先ほどの殺意など微塵も感じさせない、太母という言葉が似つかわしい、そんな柔和な表情。 貴女達の勇気に免じて・・・社長はそう呟きながら、ゆるやかな、そしてしなやかな動作で左手を右から左へ振った。 「「「「「「ゆゆゆっ!?」」」」」」 すると、一瞬にしてその場にいた全てのゆっくり達が足元に出現した不気味な穴へと吸い込まれていった。 突然の巨大饅獣VS超人の対決からおよそ3時間後。 現在、私と社長は巨大種2匹を含むゆっくり達から手厚い歓迎を受けていた。 『おねーさんもおねーさんも、ゆっかりんのおうちでゆっくりしていってね!』 『ゆっくりしていってね!』 「「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」」 「「はいはい、ゆっくりゆっくり」」 私たちの周りをにこにこ笑顔を浮かべながら跳ね回り、喧しく騒ぐゆっくりども。 先ほど、スキマ(と言うらしい)に落とされたゆっくり達は全員傷一つない状態で、ゆっかりんの傍に落とされたので一匹たりとも欠けていない。 ソレによって、察しの良いゆっかりんが私たちに害意がないことに気付き、お詫びの意味も兼ねて歓迎したいと言い出し、あれよこれよという間に今に至る。 「ところで社長・・・」 「何かしら?」 「結局、何で私が同行させられたんで?」 「それはね・・・貴女がゆっくり人間だって聞いたからよ。私だけじゃリーダーがみょん種だったら会話が成立しないもの」 いや、私は生物学的見地から至極平凡な人間である事が証明されているんだが。鏡見ても普通に人間にしか見えないし・・・と言ってたところで話を聞きそうにないか。 やれやれ、と心の中で呟きながら、目の前にうず高く詰まれた宴会用の食料の山に目をやる。 雑草や虫など人間があまり食べないものがメインだが、中には私でも食べられそうな果実やキノコなんかも積まれていた。 それらを川で洗い、時には近くにあった木の枝を洗ってから、ソレに突き刺して、社長の熾した火で炙って食べる。 「むしゃむしゃ・・・んまい♪」 「そうねぇ、たまにはこういうのも悪くないわねぇ」 「これでお酒があったら言うことないんだけど・・・」 「・・・飲む?」 なんだかよく分からないがとりあえず食べられるキノコを咥えたまま、中空にスキマを作り出した社長は、そこから大きな瓢箪を取り出した。 スキマの中から「こらー!私の瓢箪返せー!」という声が聞こえたような気がしたが、スキマが閉じられ、確認する術がないので気にしないでおこう。 そして、いつの間にやら用意していた2人分のコップにお酒を注ぎ、そのうちの一つを私に手渡した。 「ありがたくいただきます、社長!」 「ふふ、現金ね」 コップを受け取り、乾杯を済ませた私たちは最初の一杯目を一気に飲み干す。 それからは、各々勝手に瓢箪のお酒を注いでゆく。私も社長もかなりのハイペースなのに瓢箪のお酒は一向になくなる様子を見せない。 どうなっているんだろうと思ったものの、昼間に彼女が人ならざるものであることを散々見せ付けられていることもあってか、追求する気にはならなかった。 美味しいお酒が沢山飲めるのならそれでいいじゃないか。 『ねえ、お姉さん達!』 「ふぅ・・・なにかしら?」 これで7杯目になるお酒を飲み干した社長は、ドスまりさの呼びかけに応じて彼女の方を向いた。 一方、私は「達!」と言われた所で巻き添えを食っただけの身の上なので、全てを社長に任せて、適当に群れのゆっくりと戯れる。 先ほど下敷きにしてしまったれいむが、お酒に興味を示していたので少しだけ飲ませてやると、不味いと叫びながら泣き出してしまった。 社長はそんな私を横目で一瞥して「早くあやしなさい」と無言の圧力をかけて来る。 『お姉さん達はここに何しに来たの?』 「私たちはここのゆっくりの調査に来たのよ」 『ゆっかりんたちの調査?』 「ええ、最近この山でおかしな事が起きていると聞いたものだから」 私に抱え上げられてあっという間に機嫌を直し、「おそらをとんでるみた~い」と大喜びするれいむの目を見ながら、2匹と1人の話を聞いていた私はようやく合点が行った。 確か、ゆっくりカンパニーの環境方針には野生のゆっくりや野良ゆっくりによる生活環境や自然環境への影響の調査や予防が含まれている。 今までの調査でこの山にゆっくりが生息していることを把握していた彼女は、この山の異変がゆっくりによるものではないかと調査に乗り出したんだろう。 ・・・理由が分かったといっても、何の意味もなく巻き込まれたことはやっぱり腹が立つが。 『おかしな事ってどんな事?』 「一晩で木々が30本ほどなぎ倒されていたり、大木に絞め殺しイチジクにでもやられたみたいな跡があったり・・・」 『ゆゆっ!まりさ達そんな事しないよ!』 社長の言葉に反応して、自分たちの無実を訴えるゆっかりんとドスまりさ。 もっとも、社長も彼女達がそんなことをするとは思っていないようで、分かってるわとだけ言って頷く。 私もその意見に全面的に同意で、とてもじゃないかこいつらが無差別破壊をやらかすとは思えない。不可抗力で・・・という可能性はあるが。 そもそも、そんな目立つ行動を取ってしまってはドスまりさ達の存在が公のものになってしまうのではないだろうか? そして、そんなデカブツを素直に放置してくれるほど世間様は甘くないだろう。 「そう・・・仕方ないわね、続きは明日にして、今日はここで寝ましょう」 『お姉さん達はゆっくり出来るからまりさ達と一緒にゆっくり寝てもいいよ!』 ちょっと待って欲しい、平凡な人間である私はあんな巨大饅頭に寝返りを打たれたら死ぬ。 しかし、既に寝る気満々の社長にそんな私の命に関わる重要なツッコミ入れる隙は一瞬たりとも存在しなかった。 ゆっくり風に言うならば、ごわぐでぜんぜんゆっぐりでぎないよおお!と言ったところだろうか。 いつ寝返りを打つか分からない巨大種2匹に戦々恐々で、全く眠りにつくことのできなかった私は、集落から200mほど離れた小川で夜風に当たっていた。 適当な岩に腰掛け、夜空に瞬く無数の星を眺めながら、川のせせらぎと風に揺れる木々のざわめきに耳を傾ける。 「・・・・・・・・・静かだなぁ」 自宅にいる時はこの時間ならまだれいむ辺りを抱きかかえたまま、テレビを見ながらすいかの角の酒を飲んでいる頃だろうか。 何にせよ、パジャマに着替えたは良いがまだまだ宵の口といった程度で、バカ騒ぎの真っ最中だろう。 あいつら、今頃どうしてるかな?・・・案外平然としてたら癪だな。 社長が面倒は部下に見せていると言っていたけど、迷惑をかけていないだろうか? などなど、気がつけば鬱陶しい金食い虫の居候のことを考えている自分に気付き、思わず苦笑が漏れる。 『ゆゆっ!どうしたの、お姉さん?』 とまあ、一人最近のラノベにありがちな語り部も兼ねる無気力系主人公の成長フラグみたいなことを考えていると、巨大ゆっかりんが小川にやって来た。 ぽよんぽよんと体高だけでも私の3倍を超えようかという巨体を揺らしながら私の隣に跳ねてくる。 うっかり踏まれたりぶつかられたりすると即命に関わるのかと思うと少々笑えないが、流石にそんな失敗はしないだろう。 予想通り、私の傍まで来たところで跳ねるのを止め、底部を細かく動かして私の隣に腰を下ろすゆっかりん。 立っているのか座っているのかの区別のつかない連中ではあるが、多分座っているつもりなのだろう。 「んあ・・・ゆっくりしてただけだよ」 『ゆゆっ!じゃあ、ゆっかりんも一緒にゆっくりするわ!』 ちょっと予想外の展開。ゆっかりんは力を抜いてゆっくりとした表情を浮かべ、ゆっくりした雰囲気を放ち始めた。 まさにこれこそゆっくりといった感じだ。ゆっくりのゆっくりたるゆえんをゆっくりとゆっくりしてゆっくり体現している。 でかくてもやっぱりゆっくりはゆっくりなんだな、と妙に感心してしまった。 『お姉さん』 「んあ?」 『お姉さんはとってもゆっくり出来る人だわ!だから・・・す~りす~りしてもいいかしら?』 「止めて、プレッシャーだけで死ねる」 『ゆぅぅぅ・・・・・・』 涙目になるな鬱陶しい、とは巨大饅獣相手には流石に怖くて言えなかった。 何を饅頭ごときにと思うかもしれないが、そういうことは袈裟懸け(ヒグマ)の2倍に達する巨体を目の当たりにしてから言って欲しい。 でかいというのはとにかく理不尽かつでたらめなものなのである。おお、饅頭怖い饅頭怖い。 『そうだわ!だったらお姉さんがゆっかりんにすりすりしてね!』 「・・・何その斬新な発想?」 『ゆっかりん暖かいわよ?ゆっかりんの綺麗な髪に包まってもいいのよ!』 なまじ(何故か)社長をデフォルメしたようなデザインも手伝ってか、なんか殴りたくなってくる。 ・・・のだが、物凄く期待に満ちた眼差しでこっちを見ていることに気付いてしまい、なんだか断れなくなってしまった。 チクショウ、こいつ綺麗な目ぇしてやがるじゃないか・・・。 「・・・わかったよ、すりすりすりゃいいんだな?」 『ゆっかりすりすりしてね!』 「はいはい・・・」 しぶしぶゆっかりんの髪を引っ掴んで包まり、ゆっかりんの頬にぴたっとへばりつき、頬擦りをする。 ゆっくりゆかり特有の(と思われる)物凄い弾力と、意外にも綺麗で張りがあって艶やかな頬は想像を絶する触り心地の良さだった。 それに・・・ゆっかりんの頬、暖かいナリ。悔しい、悔しいが認める。こいつ気持ち良い。 すりすり・・・すりすり・・・ ぷにぷに・・・ぷにぷに・・・ 『ゆゆ~ん、やっぱりお姉さんはゆっくりしてるわ!ゆっかりんのお母さんみたい!』 「いろんな意味でお前みたいな子どもはいらない」 『でもね・・・ゆっかりんのお母さん、ずっと昔に死んじゃったんだよ・・・凄く強くて大きなドスまりさだったけど・・・』 「・・・・・・」 ああ、もうチクショウ、潤んだ目でこっちを見るな。分かったから、気が済むまですりすりしてやるから! 観念した私はがしっとゆっかりんの頬を掴んで頬擦りをしてやると、ゆっかりんはだらしない笑みを浮かべて一層ゆっくりし始める。 すりすり・・・すりすり・・・ ぷにぷに・・・ぷにぷに・・・ 昔、友人に性格と口は悪いけど面倒見が良いからなんて理由で部活の副部長に推薦されたのを思い出した。 彼女達がそんな具合に仲良くゆっくりしていた頃、山では異変が起きていた。 「ゆぐっ!?やべでね!でいぶのおぢびぢゃんゆっぐぢさせであげでね!?」 「「「「おきゃあああぢゃああああああん!!」」」」 群れには属さないゆっくり一家の巣のすぐ外で、惨劇が繰り広げられていた。 そのゆっくりれいむのつがいはゆっくりまりさで、彼女達の間には7匹の子どもがいた。 4匹がゆっくりれいむで、3匹がゆっくりまりさ。皆とってもゆっくりした可愛い子ども達だった。 しかし、いまやつがいのまりさも3匹の子まりさも黒ずんで朽ち果てていた。 彼女達の亡骸の頭には無数の蔦が生えている。が、あまりに量が多く、実を結ぶことはない。 『んっほっほ・・・おちびちゃんたち!ありすのとかいはなあいをそそいであげるわ!』 「やめぢぇえええええええええええええ!?」 「うにぇうにぇしゃんきょあいいいいいいい?!」 「おきゃああああああしゃあああん!」 彼女達に絡みついて身動きを封じるのは太くて長い触手。そして、それらの持ち主はゆっくりありすの変異種だった。 しかも、馬鹿でかい。体高は2mを上回り、触手も太い部分は成人男性の腕くらいの太さでなおかつ4mほどの長さ。 そんなものが10本ほど、巨大なゆっくりありすに備わっていた。 大方、性欲によって定向進化でもしたのだろうが、これはもはやゆっくりではないと言わざるを得ない。 「やべでね!でいぶのおぢびぢゃんにひどいごどぢないでね!?」 『ひどいことなんてしてないわ!とかいはなあいをあげているのよ!』 「ゆびぇ!・・・ぢゅ、ぢゅっぎぢー・・・・・・」 本来ならばすっきりの恐ろしさなど子ゆっくりには漠然としか分からない。 しかし、まりさ達が犯し殺されるのを目の当たりにしている子ゆっくり達はそれがゆっくり出来ないことであると理解している。 だからこそ、必死になって巨大ありすの触手から抜け出そうと抵抗するが、あまりにも力が違い過ぎる。 何度目になるかも分からないすっきりさせられて黒ずんだ子れいむが投げ捨てられ、さっきまで彼女の上を這いずっていた7本の触手が別の子れいむへと大挙する。 『ゆふふふふふふっ・・・つぎはあなたをとかいはにこーでねーとしてあげるわ!』 「やめちぇええええええええええええ!」 『そんなこといって・・・れいむちゃんってばツンデレさんね!』 そして再び繰り広げられる凄惨な陵辱。 子れいむはあまりにも大きすぎる触手を口内に乱暴にねじ込まれ、今にも窒息しそう。 しかし、実は呼吸をしなくても生きてい行けるともっぱらの噂の彼女達は窒息によって楽になることはありえない。 口内を乱暴にかき回され、思わず餡子を吐き出しそうになるが、汚らわしい触手がそれを許さず、吐き気がずっと留まっている。 「うびぃ・・・うっ・・・」 『さあ、たのしくすっきりするのよ!』 そればかりか、子ゆっくり1匹相手には過剰とも思えるような数の触手が子れいむの頬をさすり、全身に振動を与えてゆく。 うねうねと蠢く触手に弄ばれる子れいむはやがてありすと同時に最初のすっきりを迎え、幼くしてば~じんを失った。 その後も終わることなく嬲られ続け、ものの数分で百回近くすっきりさせられ、アレコレ注がれた子れいむは蔦を生やしたまま黒ずみ、朽ち果てた。 「やべでね!でいぶのおぢびぢゃんごれいじょういぢめないでね!」 『ゆふふ・・・じぶんからすすんでまっさーじだなんてとかいてきなれいむね!』 「おきゃあしゃん・・・がんばっちぇね!」 「おきゃーしゃんがおみゃえをやちゅけてくれりゅよ!」 もはや母にすがるしかない子れいむ2匹は、現実から目を背けて必死に母を応援する。が、当然全く歯が立たない。 れいむが何度体当たりしてもありすは揺るぎもせずに次の子ゆっくりを犯しに取り掛かっている。 が、しかし、犯すばかりの単調作業に飽きたのか、何の前触れもなく、子ゆっくりを握りつぶしてしまった。 「おぢぶぢゃあああああああああああああん!?」 『ゆふふふふ・・・これであなたのいなかもののおちびちゃんはあとひとりよ!』 「ゆぐっ・・・ぐすっ・・・お、おかーしゃぁん・・・」 「おでがいぢまずうう゛う゛ううう゛!なんでぼぢまずがらぼうでいぶのあがぢゃんにひどいごどぢないでええええええ!?」 最後の1匹になってしまった我が子を前に、必死になって許しを請う母れいむ。 それを見た触手ありすは、しばし何かを考え・・・ 『だったらあなたがありすをすっきりさせてね!』 そんなことを口にしながら、母れいむの口内に触手を1本ねじ込む。 妙に臭い触手を咥え、必死に舐めるれいむ。しかし、触手ありすはそれを冷めた目で見つめていた。 なんだ、期待はずれか。 心の中でそう毒づいて、最後の一匹を握りつぶした。 「ゆぐっ!で、でいぶのおぢび、ぢゃん・・・」 『かわいそうね!あなたのてくがいなかものだからしんじゃったわ!』 「ゆっ・・・ご、ごべんね・・・だづげで、あげ・・・ゆっぐ・・・」 物言わぬ饅頭と化した最後の子れいむを前に泣きじゃくる母れいむ。 その悲劇と絶望を田舎モノの三文芝居とせせら笑い、触手ありすは母れいむを叩き潰した。 『あれだけやっておいて最後はアレですか。おお、怖い怖い』 直後、またしてもゆっくりならざるゆっくりが何処からともなく姿を現した。 トナカイのような大きな角に、獅子を髣髴とさせる逞しい肉体、大蛇を髣髴とさせる大蛇に巨大な漆黒の翼、そして紛れもなくゆっくりの下膨れ顔。 目の前に広がる惨状にも眉一つ動かさず、きめぇ丸譲りのニヒルな笑みの張り付いた顔をブンブンとシェイクしている。 『あら、きめら丸じゃない!どうしたのかしら?すっきりしたいの?』 『どうしたのかしら、じゃないでしょう。貴女のお遊びにこれ以上付き合っている暇はありませんよ?』 『ゆゆっ!ゆっくりおもいだしたわ!とかいはなどすとすっきりしにいくのよね!』 『口を開けばすっきりですか。おお、卑猥卑猥・・・などとやっている場合ではありませんね。ティガを待たせていますから急ぎましょう』 2匹は住人のいなくなった巣を後にし、もう1匹の仲間ティガれみりゃと合流し、巨大ゆっかりん達のゆっくり集落へと向かっていった。 『ゆゆっ!何か来るわ!』 『どうも、清く正しくきめら丸です』 『お姉さんはまりさとあのお姉さんを呼んで来てね!』 「・・・んあ?」 突如姿を現したきめら丸と名乗るゆっくりを前に臨戦態勢に入るゆっかりん。 1匹だけこの場に放っておくのも心配ではあったが、目の前にいるきめら丸も人間をはるかに凌ぐ巨饅獣。 地面から頭までの高さだけでも2m近く、体長に至ってはゆっかりんを上回るほど。 こんな奴相手に私が出来ることなんて、饅頭相手にこういうのも癪ではあるが、やはり何一つないだろう。 「・・・わかった」 私は言われるがままにきびすを返し、ゆっくりの集落へと急ぐ。 後ろから、とてもゆっくり同士の喧嘩で出すような音ではない轟音が響いてくるが、振り返ってもしかない。 私はただひたすらゆっくりの集落を目指して疾走した。 異常事態にもつれる足を奮い立たせて何とか集落に到着した。が・・・・・・ 『んほっ!いっぱいいるわ!』 「「「「ごわいよおおおおおお!」」」」 「「「ごっぢごないでね!ぷくううううう!」」」 集落も何処かのおとぎ話から飛び出してきたような化け物に襲撃されていた。 1匹はレイパーありすの変異種だろうか、気色の悪い、おそらくぺにぺにが進化したであろう触手を巣の中へと伸ばしてゆく。 しかも、とにかく馬鹿でかい。他の巨大種よりははるかに小柄だが、それでも2mを超え、触手を含めると5mを軽く超えるだろう。 「やめちぇええええええ!?」 「やめてあげてね!いたがってるよ!」 『とかいはのあ~いをあげましょ~♪』 「わがらないよー!?」 「ちーんっぽ!?」 歌いながら10本の触手を自在に操ってれいむを、まりさを、ありすを、ぱちゅりーを、ちぇんを、みょんを片っ端から絡めとってゆく。 そして、口の中に触手をねじ込み、抜き差しを繰り返しながら快感を貪っている。 助けてやれるものなら助けてやりたい所だが、私が跳び出していってどうにかなるような相手とは思えない。 いかにもなレイパー面をしたそいつに見つからないように急いで木々の間を駆け抜け、ドスまりさの巣に急ぐ。 が、しかし・・・・・・ 『ぎゃお~!たべちゃうぞ~!』 「「でびりゃだああああああああ!」」 『みんな!まりさのうしろにかくれてね!』 ドスの巣の前にもこれまたおかしなゆっくりの姿があった。 一見するとただのれみりゃ変異種のれみりゃザウルスに過ぎないのだが、こいつもやっぱり馬鹿でかい。 ペタン、と座り込んでいるにもかかわらずドスまりさの帽子と同じ高さに顔がある。 立ち上がったらきっと8m以上になるだろう。 「・・・もうやだ、訳がわかんない」 何か頭の悪い夢でも見ているような気分になってきた私は頭を抱えながらドスの後ろに回り込み、彼女の巣の中へ入る。 もちろん、目的は社長。昼間にゆっかりんとドスまりさを容易く一蹴した彼女ならこの事態を確実に打開してくれるだろう。 しかし、私のそんな期待はいとも容易く打ち砕かれることになった。 「・・・こんな状況で平然と寝てるよ」 「zzz・・・zzz・・・」 この社長、何をやっても一向に起きる気配を見せない。 揺すっても、くすぐっても、叩いても・・・は後が怖いので出来なかったが、うんともすんとも言わない。 いくらなんでも寝すぎだろ。そう思いつつ万が一の奇跡にかけてキスもしたがやっぱり無駄だった。 サヨナラ、私のファーストキス・・・いや、いくらなんでもテンパり過ぎだ。 『うるさいんだどぉ~!』 「ゆぎゅ!」「れいぶのおぢびぢゃあああああああん!?」 「もっぢょ・・・ゆっくりいたかった、よ・・・」 『どすぱあああああああああああく!!』 『うぎゃあああああ!いだいんだどぉ~!』 外ではドスまりさとでかいれみりゃザウルスがゆっくりらしからぬ轟音をとどろかせながら大暴れしている。 その轟音が巣の中にまで侵入し、反響して耳を劈く大爆音になる、が・・・やっぱり社長は目を覚まさない。 王子様でも探してこなきゃならんのじゃなかろうか、真剣にそう思い始めたとき・・・ 「おね゛ーざぁん!どずが、ゆっぐぢぢないでにげでねっでい゛っでたよ!」 「・・・ん、ああ」 そう泣き叫びながら私たちの元にやってきたのは昼間私の尻に敷かれたれいむ。 と言われても、このゆっくりを差し置いてこの騒乱の中で惰眠を貪っている馬鹿社長をどうしたものか・・・。 何となく踏み潰されても大丈夫そうな気がしなくもないが、ゆっかりんの攻撃を妙な術を使って受け止めていた以上、多少の怪我はするかもしれない。 それに、あの気色悪いありすにまあなんだ、性的なニュアンスを伴うアレをナニされたりしたら流石に可哀相だ。 などと考えてしまうと放っておく訳にも行かないのだが・・・ 「らん~・・・ごふぁん、まだぁ~・・・・・・?」 その寝言を聞いた瞬間、れいむを抱きかかえ、巣の出入り口に向かって全力で駆け出した。 もう知らん。寝ている間にeraい目にあっても私にゃ関係ない! 一瞬でもあんな変人の心配をしたことを少し後悔しながら、巣から飛び出して森の中へと突っ込んでいった。 『うっう~、もうあきらめるんだど~♪』 『ゆぐぅ・・・ま、まだだよ!まだ、まりさは戦えるよ!』 私はれいむの目と口を塞いだまま、木々の陰に隠れて彼女達の様子を伺う。 巣の入り口付近では2匹の戦闘に巻き込まれた大量のゆっくりが餡子を撒き散らして平らになっていた。 僅かに息があるものも、呻き声を上げるのが精一杯で、どう見てももう助かりそうなものは皆無。 唯一その場でまともに動けるドスまりさも傷だらけでところどころ餡子が露出している。 「う~・・・めんどくさいやつなんだど~!」 『ゆっ!どうしてまりさをやっつけないの?強くてエレガントなれみりゃなら簡単でしょ?』 「そんなのきまってるんだど~!いきてつれてこいっていわれてるからだどぉ~!」 『ゆぅ・・・誰かがまりさを狙っているんだね?』 ただの無駄話・・・というわけでもないようだ。 よく見てみればドスまりさは自分の足元に微弱なゆっくりオーラを展開して体力の回復を図っている。 どうやら、れみりゃの単純な頭を利用して褒めることでおだてつつ、話に乗せているらしい。 しかし、対するれみりゃは四肢一本の欠損すら見られず、多少の擦り傷や火傷以外の外傷が全くなかった。 多少傷が癒えたくらいでどうにかなる相手でないことは、目に見えていた。 『そう・・・まりさがいたせいでこんな風になったんだね・・・』 そう呟き、俯くドスまりさ。 それは違う。その誰かは・・・恐らく人間だ。まりさが居たせいじゃない、これはただの人間のエゴだ。 出来ることなら駆け寄ってそう言ってやりたい。が、飛び出していってもどうにもなるまい。 れいむを抱きかかえたまま、ドスまりさに背を向けて山林の中を駆けていった。 『ゆふんっ!まだいっぴきのこってたのね!』 「うげ、見つかった・・・」 「ゆえええええええん!こわいよおおおおお!?」 私だって怖いっつーの!ついでにレイプ中のこいつらの顔は生理的に受け付けないよ! しかし、怯えるれいむの前でそれを口にするわけにもいかず、決死の逃走を繰り広げる私達の前に立ちはだかる触手ありすを睨む。 見ているだけで不愉快な化け物とは言え所詮は饅頭だ。斧の一つでもあれば何とか対抗できるかも知れないが・・・ 「・・・うへぇ」 彼我の戦力差は圧倒的。そう判断した私は恐らくゆっくり達が舗装した道から、巨体には不利な木々の密集地へと駆け出す。 うねうねと蠢きながら襲い来る触手を必死にかわし、木々を避けながら触手ありすを誘導する。 幸い巨大化していてもゆっくり特有の鈍足は健在、私が全力で走ればある程度距離を稼げる程度の移動速度でしかない。 もっとも、結構な大型のれいむを担いで全力疾走できる距離など知れており、結局追いつかれる羽目になるのだが。 「よしっ!」 『れいむううううううう!ありすがとかいはのあいをあげるわああああああ!!』 とはいえ、そんなことはいくら私でも最初から想定している。 何とか狭い道を選んで木々をバリケード代わりにしながら触手ありすとの距離を保ち、逃げ続ける。 何処へ向かっているかを考える余裕なんてなかったし、そもそも自分が今何処にいるのかも分からない。 ただ、あんなのに捕まりたくない、それにれいむを放っておくわけにもいかない。 その一心だけで木々の隙間を駆け抜けた。 「おねえええざぁん!」 「あーっ、もうっ!五月蝿い!?」 抱きかかえられているれいむは大粒の涙をぼろぼろ零しながらも私の衣服に必死に噛み付いている。 多分人間でいうところのしがみ付くに相当する行動なんだろうが、動きにくくなるので正直鬱陶しい。 それにいい加減腕が疲れてきた。しかし、触手ありすの不快な咆哮がまだ聞こえてくる以上、ここで休むわけにもいかない。 『まぢなざああああい!れいむううううううううう!』 「ごわいよおおおおおおおおお!?」 怖っ!本当に何処の神話の世界から飛び出してきたんだか、あのミュータントは・・・。 とはいえ、上手く通行を阻むことが出来たのか、その声は徐々に小さくなっている。 このままなら何とか逃げ切れるはず。 そう思って安堵した瞬間・・・ 『ゆ゛っ・・・お、おね゛ーさ、ん?!』 『おや、ご自分から戻ってくるとは・・・おお、愚か愚か』 一体、どうすればこんなデカブツを見落とすのかと思うような巨体が2つ。 不運にも瀕死のゆっかりんと、きめら丸に鉢合わせてしまったらしい。 ぼろぼろの体で懸命に這いずってきめら丸と私たちの間に立ちふさがるゆっかりん。 『だべよ・・・おねぁざんはゆっがりんが守る、よ・・・』 彼女がきめら丸に蹂躙される光景を目にした瞬間、頭の中が真っ白になる。 更に絶望的なことに、薄れゆく意識の中で撒いたはずの触手ありすを視界の隅に捉えてしまった。 ゆっくりいじめ系2165 巨大ゆっくりの饗宴(後編)」?に続く
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1435.html
幻想郷の空をリリーが舞い、桜が咲き乱れ、鳥達が絶え間なくさえずっている。 そんなうららかな春の昼下がり。 20人あまりの少年達がただ広いだけの野原にやってきた。真っ先に彼らの目に止まったのは一組のゆっくりのカップルだった。 ゆっくり魔理沙とゆっくりアリスというかなり珍しい組み合わせのカップル。まだ年若いのかどちらもやや小ぶりだ。 大抵の魔理沙はゆっくりアリスが発情期になると見境なく自分を陵辱することを本能で理解しているので、アリスを避けようとするのだが、 アリスの性欲が他のアリスより希薄なのか、あるいは魔理沙の危機意識が他の魔理沙より低いのか、このカップルは今のところ順風満帆といった感じである。 「「ゆっくりしていってね!」」 少年達の気配に気付いたカップルは声をそろえてお約束のせりふを口にする。 警戒する様子は一切ない。普段から少年達と野原で遊んでいる二人にとって彼らは友達、いや時に捕食者であるゆっくりゃを追い払ってくれる頼もしい恩人達なのだから当然だろう。 だからこそ、このカップルはこんな隠れる場所もない野原でゆっくりしていられる。それほど少年達のことを信頼しているのだ。 「みんな、きょうもゆっくりしていってね!」 そう言いながら満面の笑みを浮かべ、顔だけしかない自身の体全体と弾力性のある皮を巧みに弾ませて少年達の下へ駆け寄ってきたのはゆっくり魔理沙。 最初から「いっしょにゆっくり」などと口にするのは自己中心的で傲慢で、人間や他のゆっくりを自分の居場所から追い払おうとすることの多い魔理沙種にしては珍しい。 一方のアリスも魔理沙のように一目散に飛び跳ねてくることはないが、あまりにも無防備な満面の笑みを浮かべながらゆっくりの名に相応しいゆったりとした動作でやってきた。 「きょうもゆっくりさせてあげてもいいわよ!」 一見すると上から目線ではあるが、これは妙にプライドの高いアリス種の特徴であって、本当に子供達を自分より下に見ているわけではない。 なんにせよ、この2匹が少年達を信頼していることを疑う余地はなさそうだ。 勿論、その信頼は少年達にだって伝わっている。 ある農家の末っ子の少年はアリスの偉そうな物言いに 「うわっ、こいつやっぱり生意気~」 と毒づきながらも、その表情はゆっくりたちにも負けない満面の笑み。 またある八百屋の少年は 「お前らに言われなくてもゆっくりするよ」 と魔理沙の頭(いや胴体か?)をなで、 狩猟で生計を立てる一家の次男坊は 「って言うか、いい加減森に帰れよ。俺達のいないときに襲われたら危ないよ?」 と、邪険にしながらも実は心配しているというツンデレぶりを発揮していた。 とにかく、ゆっくりのカップルは少年達が大好きで、少年達はゆっくりが大好きだった。 「ゆ?おにいさん、それなぁに?」 しばらく少年達と戯れていた魔理沙が彼らの持ってきたプラスチック製のボールの存在に気付いた。 すると、リーダー格の少年がそのボールを手に取り、誇らしげに掲げる。 「これはね、阿求さんからもらったサッカーみたいなちょっと激しい遊びでも僕達とゆっくりが一緒に楽しめるようになる道具だよ」 阿求というのは人里の要人で、可愛らしい少女である。 このリーダー格の少年は密かに彼女に好意を持っていたりするが、そんなことはどうでもいい。 「ゆ!本当に?魔理沙たちもいっしょにサッカーできるの?!」 その言葉に魔理沙もアリスも瞳を輝かせる。 当然ながらが激しいぶつかり合いを繰り広げる人間同士のサッカーにゆっくりが参加することなど不可能。 今まで少年達がサッカーを始めると疎外感を感じていた魔理沙達にとってこの知らせは非常に喜ばしいものだったのだろう。 「「ゆっくりサッカーしようね!」」 ボールの前で瞳を輝かせながら必死にサッカーを催促する2匹。 その視線に苦笑しながらも、リーダー格の少年はボールをふたに割ると、2つの半球の上にアリスと魔理沙を乗せる。 「よっ、と!」 2匹が半球の上に乗ったのを確認すると素早く、半球を閉じて球体に戻す。 それから、近所のゆっくり愛好家からもらったボールを保護するための空気穴のあいたゴムを手際よく被せる。 ちなみにこのゴムは真っ黒で内部の様子が一切分からないようになっている。 したがって、少年達には殆ど身動きが取れない状況に陥っている2匹の状態をうかがい知ることは出来ない。 それにこのボールは防音を重視した設計になっているので、口を押さえつけられまともに喋れないゆっくりの声なんて殆ど聞こえない。 しかし、少年達は日ごろ優しい阿求やゆっくりについて語りだすと止まらなくなる変だけどゆっくりが大好きな親切なお兄さんの「ゆっくりは振動を与えると喜ぶからボールの中に入れて蹴ってあげると良い」という言葉を信じて試合を開始した。 少年達はゆっくりが大好きなのと同様に阿求やお兄さんも大好きだから、彼らの言葉を疑うことなど微塵もなかった。 ところ変わってここは稗田邸のある一室。 「阿求様。こちらが先日注文していただいた妊娠ゆっくり用のゆっくりボールの試作品です」 そう言って、少女に大人のゆっくりとほぼ同じサイズのプラスチックボールを差し出したこれといった特徴のない男は幻想郷で1,2を争うゆっくり好き自称する変わり者。 「いつもありがとうございます。こちらがお代金と・・・わずかばかりではありますが、今後のゆっくりグッズ開発のための資金です」 プラスチックボールと引き換えに包みに入ったお金を差し出した彼女こそ人里の名家の当主、稗田阿求である。 「いえ、こちらこそ。いつも阿求様には助けていただいてばかりで・・・」 恐縮しながらも、もらえるものは遠慮なく懐にしまった男は思い出したように「説明書」と書かれた紙切れをボールのそばに置き、そそくさと稗田邸を後にした。 一人部屋に残された阿求は説明書を手に取り、そこに書かれた短い文章に目を通した。 『このボールには妊娠初期のゆっくりを入れてください。妊娠期の動きの鈍い母親を保護するほか、圧力で赤ちゃんが成長しにくくなり小ぶりになるため、母親は無痛で出産できます。』 人並みに常識のある人ならばこの説明書がいかに異常かすぐに理解できるだろう。しかし、阿求にとってはそれが良いのだ。 明らかに常軌を逸した思考のものが作ったそのグッズは、予想の斜め上を行く拷問道具として機能する。 彼が最初に作ったゆっくりボールは透明な箱にも劣らぬ閉塞感でゆっくり霊夢の心を、長きに渡る拘束があらゆる身体の機能を破壊しつくし、ボールから解き放っても身動き一つ取れない正真正銘の顔饅頭へと仕立て上げてしまった。 その次のペア用のゆっくりボールにはゆっくり魔理沙とゆっくりアリスを放り込んだ。そして自室に置いて気が向いたときに蹴り飛ばし、回して暇を潰した。 ボールに守られたゆっくりが殆ど怪我をしないのは腹立たしかったが、阿求はそのボールが気に入った。 蹴るたびに、回すたびに与えられる振動がアリスを欲情させ、同じボールに閉じ込められている魔理沙は内と外、双方からの脅威によって恐怖のどん底に陥れるのが非常に面白かった。 もっともそのボールは魔理沙とアリスが死んでしまった後に村の少年にあげたので、今は手元にないのだけれど。 思い出すだけで、稲妻で貫かれるような快感が全身を駆け巡る。 それから、ボールをあげた少年が可愛がっている野原に生息するゆっくりのカップルも魔理沙とアリスだと聞いたことを思い出して、頬を緩める。 今頃、信頼していた少年達に絶望を刻み付けられたゆっくり魔理沙は、少年達にどんな言葉を投げかけるのだろうか? 気がついたらパートナーを苦しめてしまっていたゆっくりアリスは、少年達にどんな態度をとるのだろうか? きっと魔理沙とアリスのことだから少年達の事情や気持ちなんてお構いなしに彼らを罵るのだろう。 ああ、可哀そうな少年達。ゆっくりのためを思ってやったことなのに、ただ私にだまされただけなのに。 きっと泣いて帰ってくるであろう少年達に涙ながらに訴えよう。「私はそんなつもりじゃなかった」って。 そうすれば、酷い言葉を投げかけたゆっくりなんかより、私のことを信用してくれるはず。 そしたら彼らにゆっくりの邪悪さと醜悪さを教えてあげて、それから皆でそのカップルゆっくりを殺しに行こう。 痛めつけて、痛めつけて、痛めつけて・・・虫の息になったところでこう囁こう。 「何も知らないこの子達をだましてあのボールを使わせたのは私なのよ?」って。 馬鹿だから意味が理解できないだろうか?それとも妙に情緒面だけ発達しているから暴言を吐いてしまったことを後悔するだろうか? それから、「あなた達のせいで彼らはゆっくり嫌いになった。きっと彼らにたくさんのゆっくりが殺されるわ」って囁いて、それから止めを刺そう。 想像するだけで、濡れてくる。 -----あとがき----- ゆっくりを虐待するシーンそのものは殆どなし。 ホスト規制まじぱねぇよ。ケータイまで規制喰らってやがる。 ゆっくりゃの依存の対象になっている咲夜さんがうざいと抜かす不届きものに、 むしろ、その依存はいじめられている最中において絶望の中の微かな希望も同然であり、ゆっくりゃの虐め甲斐は何もせずとも勝手に「咲夜が助けてくれる」という幻想をひとりでに抱いていることにある。 すなわち、勝手に裏切られた絶望を味わうことにあるのだから、我々は西瓜の甘みを引き立てる塩のような存在として咲夜さんを崇めるべきだ、とか 揺さぶられて感じているゆっくりアリスでフルボッキしちゃう、とか 色々語りたいことがあるというのに・・・ふぁーっく。 ボールに需要があるかなんて全く気にせず、思いつきとノリと勢いだけで素人が書いたものなので非常に読みづらいでしょうが、目を通していただけると幸いです。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2464.html
※CAUTION!! 個人的なゆっくり解釈が含まれております 分かりづらい言い回しとかあります 文才無いです ゆっくりは無垢で純粋な生物で決して悪意という類は存在しない。 だがそれが代えって問題なのだ。 悪意が無い故に罪の意識がなく、自らが正しいと考え、過ちを正そうとしない。 ゆっくりはただ純粋に傲慢で、 純粋に怠惰を貪り、 純粋に後先考えず暴食を繰り返し、 純粋に思い通りに行かない事に憤怒し 純粋に色欲に囚われ、 純粋に自分より優れている相手に嫉妬し、 純粋に強欲となり身分不相応の物を得ようとする。 ~悪意のないゆっくり~ 「ずるいんだぜ・・・くずのくせにはまりさよりずっとゆっくりしてるんだぜ」 とある人里の近くにある原っぱ。 その近くの雑木林の陰からゆっくりまりさが一匹、ある場所を睨み付けていた。 其処にいたのは一匹のめーりん、と彼女と戯れている人間。 めーりんの帽子には飼いゆっくりの証であるバッジが付けられており、 隣の人間はめーりんの飼い主なのだろう。 めーりん種は人語を話せないが高い知能を持ち、本能的に何かを守る習性がある。 しかし、ゆっくりは人間以上に異端を受け入れない。 飾りを失った同胞,奇形、それが自分の子であったとしてもだ。 故に喋ることの出来ないめーりんもそれに該当し、ほかのゆっくりからくず呼ばわりされている。 だが高い知能を持った数少ない良識を持つゆっくりは決してそのような差別もしないしする来もない。 それはゆっくりの無根拠な優劣感を持ち合わせていないのと同時に、 めーりんを虐げたゆっくりは大抵めーりん種とは仲の良いふらんの死に近い制裁を受けてしまう事を知っているからだ。 だが学習能力の低い彼らは決して一歩も進歩することなく異端を爪弾きし続けている。 だからまりさは許せなかった。 自分より劣っていると思っているめーりんが人間と仲が良く、 自分より劣っているのに自分よりもずっとゆっくりしている事に。 このまりさは子持ちの家族であり、それと同時にゲスだった。 まりさは性欲を持て余していた所に一匹のれいむに一目惚れし、 そのまま番(つがい)となりすぐに性行為へと走った。 そして大家族となり一時は幸せだった。 だがこのまりさはゲスだった。 大家族となると大量の餌が必要だったが生まれた子は皆植物型。 まりさはそれを利用し自分が赤ん坊の世話をしれいむに餌集めを強要させた。 れいむによって集められた餌は節約すれば3日は持つ量だった。 しかし、赤ん坊の世話で疲れたと無茶苦茶な理由と付け、大食のまりさは殆ど貪りれいむと子には殆ど行き渡らず、 子供達は足りないとれいむに罵声を浴びせる。 れいむが寝る間も惜しんで集められた餌の大半はまたまりさに食い尽くされ、 遂にれいむは空腹と疲労で過労死してしまった。 だがまりさはれいむの死の原因を分かろうとしないどころかれいむを役立たずと罵倒し、 れいむを死を悼むことなくれいむを食べた。 その時だった。過労の苦痛によりれいむの餡子は非常に甘く、まりさは初めて同族の味を覚えてしまった。 それから、舌の肥えてしまったまりさは草や虫では満足出来ず、対には自分の子を食べ始めた。 だが最後の子は食べる前に巣の外に逃げ出してしまい、まりさがその子を食べた時は巣の外、 近くに巣を持っていたゆっくりに見つかってしまった。 同族殺しは捕食種を除いたゆっくりの中では絶対禁忌、これを破った場合殺されるのが関の山だ。 だがまりさは饅頭を食べただけで同族を殺したことを全然自覚していなかった。 それにずっと巣の中に籠もりっきりの上に大量の餌を食べていたまりさはでっぷりと太っており、 運動神経も鈍くあっさりと捕まってしまい、他のゆっくり達から体当たりをくらい、石を投げつけられ、 日が暮れた頃には痙攣した饅頭となり、ゆっくり達はまりさをそのまま放置した。 後は捕食者の餌となるだろうと考えたのだろう。 まりさにとって此処が年貢の納め時だったのかも知れない。 だがまりさはしぶとかった。自分が命を奪った者でありながら生への渇望が尋常ではなかった。 まりさは自力で起きあがると近くの巣を襲い、巣の中のゆっくりと餌を貪り食い生きながらえた。 その後、隙を見計らい、此処のゆっくり達に復讐する為力を付けようと思い巣を出て行った。 そして今に至る。 「ごゔぉじでぎや゙ず・・・ぐずゔぉに゙んべんゔぉぐいごゔぉじでや゙る゙・・・」 今のまりさには逆恨みと言う名の憎悪しかなかった。 自分の過ちを理解していなかったまりさにとって、 自分が一番ゆっくりするべき存在だったのに、前にいた頃のゆっくり達にそれを妬みにされ理不尽な暴行を受け死にかけ、 今目の前には自分より劣っているくずめーりんが今の自分よりもとてもゆっくりしている事に非常に妬ましく腹立たしかった。 もはや今のまりさには理不尽な腹いせしか残っていない。 まりさはすぐさま人間とめーりんの後を付いていった。 そして、人間とめーりんは自分の家である民家へと入っていった。 まりさはそれを見逃さず、すぐにその家に入ろうとした。 今まりさの中ではくずと人間を殺した後この家を乗っ取り、自分が大いにゆっくりしようと考えていた。 だがそんな皮算用も無い無謀な計画もすぐ後に砕け散った。 「どういうことなんだぜ!はいれないんだぜ!」 今の今まで森の中で生活してきた上に最近まで引きこもっていたのだ。 留守を狙ったり窓ガラスを割って侵入するなんて知恵は持ち合わせて無かったのだ。 「い゙れ゙ぇゔぉぉぉぉぉぉ!!ばじざをゆ゙っぐじざぜぇろ゙ぉぉぉぉぉぉゃ!!」 自ら生み出した恨み辛みが募っていたまりさは、ただでさえ小さい堪忍袋の緒が切れ。 目をギョロリと見開き玄関の前で金切り声を上げた。 「誰だよるせーな・・・なんだゆっくりか」 その騒音に中の男が玄関の戸を開け、その声の正体がゆっくりだと分かると男は潰すために片足を上げた。 だがまりさはそれを見計らい、男の下をすり抜け民家へと侵入した。 まずまりさのやることはくずなめーりんを喰い殺しその後人間を殺す算段だった。 「おっと捕まえた!まったく隙がないたらありゃしない」 だが、ゆっくり自体移動のスピードはかなりおそい。 まりさはすぐに男に後ろから掴まれ捕まってしまった。 「ばなざぇぇぇぇぇ!!ばじざゔぁずぐに゙ぐずゔぇーり゙ん゙ゔぉごぞずん゙だゔぇぇぇぇぇぇ!!!」 ただでさえ大した思考が無い上に怒りで完全に餡子脳が回らず、 相手がめーりんの飼い主である事を忘れてしまっていた。 男は溜息を吐くと無言でまりさを持ったまま居間の方へと歩いていった。 必死でもがくまりさの目に飛び込んだのは、自分が殺すべき存在であるめーりんがいた。 「ぐずゔぇぇぇぇぇぇじん゙!!!びゔぁずぐごろじで・・・・・・・・」 一方的な仇敵の前に殺意を剥き出しにするまりさだが、その思考はすぐ真っ白へと変わった。 「ゔぁぶでゔぁんがい゙り゙ゅゔぉぉぉぉぉぉぉ!!?」 何故なら、めーりんの隣にはゆっくり総じて驚異でもある捕食種、ふらんがいたのだ。 それも体付き、その戦闘力はゆっくり基準では計り知れない。 「ほらよふらん、汚れないように外で遊んできなさい」 男はふらんにまりさを見せると無言で頷き、男がソレを投げつけるとキャッチし、庭の方へと駆けていった。 実は、このふらんも男の飼いゆっくりで、ゆっくりに虐められたかなんかして傷付いて倒れていためーりんを拾うとセットで付いてきたのだ。 それからと言うモノ、飼われてゆっくりしているめーりんに嫉妬したゆっくり達がめーりんに変わってこの家に住もうとほぼ毎日やって来て、 その度に男は4~5分しか保たないふらんの遊び道具になってもらっている。 だがこう何度も家にやって来てはおちおち出かけることも出来ない。 そこで、近くのゆっくりブリーダーの助言で、ふらんの玩具としての役割を終えたゆっくりの飾りを家に吊し、 飾りに付いたゆっくりにしか判断できない死臭でゆっくりは寄ってこなくなった。 しかし、このまりさは同胞の味を覚えてしまっている。 その為、ゆっくりの死臭は全くもって気にならなかったのだ。 それが災いだったのかもしれない。 「ゆっくりしねぇ!!」 「ぎゃぶぅ!!」 庭に出たフランはまず顔ど真ん中を殴った。 更に何度も殴りつけ、地面に投げつけると何度も踏みつけた。 その後まりさを拾い上げ、まりさはこれで終わったと思いきやそのまま地面にビタンビタンと打ち付ける。 そこでふらんの手が滑り、まりさは放射線を描きながら少し離れた所に落ちる。 まりさの体は完全にボロ雑巾のようで、体中にお出来た傷から餡子が漏れていた。 だが致死量じゃない、それだけがまりさにとって救いだった。 もはやまりさの怒りはもはや完全に有頂天だ。 兎に角自分の気に入らない、自分のゆっくりを妨げるヤツは全て皆殺しにするつもりだ。 「じぃぃぃぃぃぃぃぃゔぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 まりさは生まれ持ったしぶとさで起きあがると、同族を喰らった歯でふらんを食いちぎろうと飛びかかった。 「れーう゛ぁていん!!!」 傲慢な性格と煮えたぎった怒りがまりさの思考は完全停止し攻撃へと促し、それが仇となった。 ふらんは近くにあった木の棒を拾うと飛びかかるまりさを思いっきり殴りつけ、 その拍子に砂糖菓子作りの歯が何本か砕けてしまった。 その後地面へと叩き付けられたまりさをふらんは見境無く殴り続ける。 そして、棒が折れ折れた部分をまりさの眼球に突き刺し、帽子を破り捨て、髪の毛を引きちぎり、歯を全部抜き取り、 2倍に腫れ上がった溺死の禿饅頭となった所でふらんの攻撃は止んだ。 こんな状態でもまりさは性懲りもなく復讐の怒りを燃やし、こなまま死んだフリをし、 隙を見てふらんを殺そうと考えていた。 だがふらんはまりさが死んだから遊ぶのをやめたわけではない。 沢山遊んだ事で小腹が空いてしまったのだ。 なのでふらんは座り込むとまりさを掴む。 そしてまりさの体に牙をたて、餡子を吸い上げた。 「あまあまー!!」 「ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙・・・・ゆ゙・・・ゆ゙・・・」 まりさは体の半分以上の餡子を吸い取られた為、思考には怒りや憎しみは消え失せ、 痙攣した奇声を発する饅頭と化し、最後は物言わぬ革袋となった。 その後、男に呼ばれたふらんは皮を投げ捨て家の中へと入っていき、 入れ替わるように夕立が降り注ぎまりさの皮を完全に溶かしていった。 こうして、悪の限りを尽くしたまりさは見事な天罰を受け死んでいった。 だが、このまりさには決して悪意は無かった。 番を死なせた事も、我が子を殺した事も、めーりんに逆恨みをした事も、まりさには悪気の一つもなかった。 もう一度言うが、 ゆっくりは無垢で純粋な生物で決して悪意という類は存在しない。 だがそれが代えって問題なのだ。 悪意が無い故に罪の意識がなく、自らが正しいと考え、過ちを正そうとしない。 ゆっくりはただ純粋に傲慢で、 純粋に怠惰を貪り、 純粋に後先考えず暴食を繰り返し、 純粋に思い通りに行かない事に憤怒し 純粋に色欲に囚われ、 純粋に自分より優れている相手に嫉妬し、 純粋に強欲となり身分不相応の物を得ようとする。 そして、決して悪に染まることなく、己の罪を自覚しないまま、その命を散らす。 来る日も来る日も、ずっとゆっくりするために、この地に生を受けそして瞬く間に消えてゆく。 今日もまた何処かで、"悪意のない"ゆっくりは死んでいく。 どうもsageの人です。 ゆっくりって悪いこと自覚してるのか?と考えついて書いてみました。 他の駄作共 猫と踏み切りとゆっくりと ゆっくり苺大福 真のドゲスまりさ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/463.html
ゆっくり魔理沙は危機的状況にあった。 「ふひゅおおおっ!!まっままままりざああ!!!」 まりさの目の前に発情したゆっくりアリスがいる。 大きさはバレーボールほどだ。 「やめてね!まりさはありすとすっきりしないよ!ゆっくり理解してね!!」 対するゆっくり魔理沙は、バスケットボールより少し大きい。 発情期のリミッター解除状態ゆっくりアリスとはいえ、余裕で蹴散らすことのできる体格差だ。 しかし、まりさは動かない。 ゆっくりアリスがゆっくり魔理沙の巣穴を襲撃してから、既に10分以上も睨み合いを続けている。 襲い掛かっても抵抗されればすぐに押しつぶされてしまう、アリスは興奮状態にありながらも客観的に判断した。 だが引き下がるアリスではない。 「いま出て行ったらゆっくり許してあげるよ!アリスは帰ってね!!まりさは一人でゆっくりするよ!!」 まりさはアリスの交尾を受けるわけにはいかなかった。 そして、アリスに攻撃を加えるわけにもいかない。 それは何もアリスを大事に思ってのことではない。 まりさの体の中には、赤ちゃんがいるのだ。 まりさは巣穴の隅に置かれた月のアクセサリーが付いた帽子に目を移す。 (パチュリー・・・、まりさはパチュリーの赤ちゃんを守るよ・・!) 極度の緊張感からか、まりさは走馬灯にも似た光景が頭に浮かぶ。 このゆっくり魔理沙は、かつて1匹のゆっくりパチュリーと暮らしていた。 2匹は子供の頃からの付き合いだった。 ペットとして飼われていたが、まりさは帽子の形が悪いから、パチュリーは体が弱いから、そんな理由で森に捨てられた。 自然の森で子ゆっくりが2匹だけで生きていくことなど、ほぼ不可能である。 しかし、運動神経がよかったまりさと、博識であったパチュリーの組み合わせはそれを可能にした。 協力し、時に対立し、苦しみながらもなんとか成体へと成長することができた。 そんな2匹が子作りを考えたのは最近のことであった。 『むきゅう・・・ぱちゅ、まりさと赤ちゃんを作りたいよ・・!』 まりさは反対した。 人間の元で生活していた時から、パチュリーは病でいつ死んでもおかしくなかったのだ。 森で生活を始めてから、症状は日に日に悪化し、いつ昏睡状態になってもおかしくないほど衰弱していた。 交尾は体力を消費する。とてもパチュリーに耐えられるものではない。 大好きなパチュリーとすっきりすることは、まりさにとってこの上ないゆっくりタイムを提供するが、代価が大きすぎた。 しかしパチュリーは諦めることなく、連日、交尾しよう交尾しようと発情期のゆっくりアリスのように懇願した。 なぜそんなにも赤ちゃんが欲しいのか。 まりさが聞くと、事もなげにパチュリーは答えた。 『ぱちゅはもうすぐ死んじゃうから、大好きなまりさとの赤ちゃんを遺したいの。そうすれば天国でゆっくりできるよ』 死を受け入れたパチュリーの覚悟はまりさに強く響いた。 ならば、自分もパチュリーの覚悟を受け入れなければ。 その日からまりさはいつにも増してエサを集め、パチュリーに体力をつけさせた。 そして、話し合いの結果、母体はまりさが務めることにした。 1週間のエサ収集を終え、万全の体制を整えた。 そして、まりさとパチュリーは初めての、そして最後の交尾をした。 擦り切れるほど頬を押し合わせ、溢れる粘液にワラを濡らした。 ワラに横たわったまりさは、永遠にゆっくりしてしまったパチュリーを見る。 母体を勤めなくても、交尾は相当な体力を必要とする。 この結果は当然であったが、まりさは溢れる涙を止めることができなかった。 子供の頃からの友達、家族、そして最愛の恋人。 笑ってパチュリーを見送ろうと決めたが、その約束は守れなかった。 ならば、赤ちゃんは絶対に守る、まりさは固く心に誓った。 出産は人間型だった。 一度に数多くの赤ちゃんが実る植物型では、パチュリーのような病弱種は生れ落ちた瞬間に絶命することがよくあるためだ。 人間型出産では時間がかかることと、動きずらくなる欠点があるが、生まれる赤ちゃんは植物型に比べて大きい。 パチュリー種を身ごもったとしても安全に出産することができる、まりさは迷うことはなかった。 体の中の赤ちゃんは順調に成長した。 バレーボールより大きい程度だったまりさも、赤ちゃんの成長に合わせてバスケットボール並に巨大化した。 ゆっくり成長して欲しい、そう願いつつ巣穴でゆっくり生活をしていた。 そして今。 それを壊したのが、目の前のゆっくりアリスであった。 まりさは体の中の赤ちゃんにはゆっくりしていてもらいたかった。 ヘタに刺激し、ゆっくりさせずに産み落とすことはパチュリーに対する冒涜に思えてならない。 だからこそ、膨れて威嚇もしなかったし、体当たりもしなかった。 しかし、それがアリスを調子付けることになってしまう。 「まりさ!そんなこどいっで、がらだは正直ねえええ!!!すっぎりじようえねええ!!!!」 我慢の限界が来たのか、それとも攻撃をしてこないまりさを軽く見たのか、アリスが飛び掛ってくる。 「ゆ!アリスやめてね!!すっきりしないよ!!!」 まりさの言う事などアリスの耳には届かない。 飛び掛ってくるアリスに、まりさは思わず体当たりをした。 勢いよく飛ばされたアリスは巣穴の壁に叩きつけられる。 「ゆべっ!!ひどぅおおいわああ!!!」 衝撃で涙を流すアリスだが、まりさは自分自身に声を掛けていて目も向けない。 「ごめんね!!まりさの赤ちゃん、もっとゆっくりしてていいんだからね!!いたかった!?ゆっくりごめんね!!」 アリスは瞬時に理解した。 なぜこの大きなまりさが反撃はおろか、威嚇すらしなかったのか。 そして、すっきりする方法まで。 アリスの体から痛みが消え、再び性欲の熱を帯び始める。 「まりざああ!!!ぼてばらのまりざもズデギよおおおっ!!!!!」 「ゆ!やめてね!!アリスなんか嫌いだよ!!」 再び体当たりの姿勢を見せるまりさ。 「まりざあ!!ぞんな゙ごとしたら゙赤ちゃん゙が死んじゃうわ゙よおお!!!ゆっぐり゙すっきり゙しよ゙うねえ゙え゙!!!」 「・・・ッ!」 アリスの言うことはもっともだった。 相手が子ゆっくりならば踏み潰すだけだが、相手は自分より小さいとはいえ成体のゆっくりアリスだ。 本気で体当たりをしなければ殺すことはできない。 しかし本気で体当たりをすれば、体の中の赤ちゃんは潰れてしまうだろう。 逃げようとしても、赤ちゃんの重さもあることに加え、力強く跳ねれば赤ちゃんは潰れてしまう。 戦えない、逃げられない、性欲に染まったアリスには言葉も通じない。 自分にいま、できることはなんだろう。 赤ちゃんを守るためにはどうすればいいのだろう。 餡子脳で必死にまりさは考えを巡らせた。 30分後。 巣穴には粘液とヨダレ、涙に溢れたゆっくり魔理沙がいた。 まりさの出した答えは、無抵抗で交尾を受け入れることだった。 赤ちゃんに振動ができる限り伝わらないよう、後頭部側を曝け出して、アリスに犯された。 愛の無いすっきりに、まりさは体は無事だったものの、心はズタボロにされてしまった。 最愛のパチュリーの帽子が見える位置で、おぞましい振動を受け入れたのだ。 全てはパチュリーが遺してくれた赤ちゃんのため。 人間型の出産では強い母性が目覚める傾向があり、このまりさも例外ではなかった。 行為が済むとそそくさとアリスは去っていった。 計3回もすっきりさせられ、皮は傷だらけになっている。 どん底とも言うべき状況であるが、赤ちゃんだけは守ることができた。 それだけが、まりさの唯一の救いであった。 それに、食料は隠してあったのでアリスに奪われることもなかった。 赤ちゃんはちゃんと産める。 「ゆっ・・・うぅうう・・・パチュリー・・・まりさ、赤ちゃんをまもっだよぉおおお・・・・」 暗い巣穴でつぶやくまりさに答える声はなかった。 翌日、まりさは再び頭を抱えていた。 頭から茎が生えてきてしまったのだ。 昨日のアリスとの交尾が成功してしまったのである。 高く伸びた茎には、7つの赤ちゃんが実っており、どれもぷっくりと丸々している。 「ゆっ・・!どうじよう・・!どうじよう・・・!?」 赤ちゃんとはいえ、あの悪魔のような強姦魔との間に生まれたものだ。 まりさは母としての本能と、理性との間で葛藤をしていた。 植物型出産は、期間が短い。 ヘタをすれば明日にでも誕生してしまうだろう。 手を打つなら早いほうがいい。 しかし、体に赤ちゃんがいる身としては、いくら憎い子でも殺すことは躊躇ってしまう。 それに、体の中の赤ちゃんも、今日か明日には誕生するはずなのだ。 エサは十分にあるが、7匹も余計に増えればあっという間にエサはなくなる。 最愛の我が子にひもじい思いはさせたくない。 答えを出せないまま、まりさはその日を終えた。 眠ったような、眠ってないような、そんな中途半端な状態からまりさは目覚めた。 外にはもう日が昇っている。 「ゆっ・・・どうしよう・・・、パチュリー、どうしよう・・・・」 帽子に話しかけるが答えは返ってこない。 茎の上を見上げると、生れ落ちるのを待ちわびているかのように、ニコニコと微笑む赤ちゃんがいた。 もう体もプチトマトほど。いつ生れ落ちてもおかしくない大きさだ。 まりさ種が2匹、アリス種が5匹。 ふと、まりさは疑問に思った。 「ゆ・・・なんだかすごくゆっくりしてる・・・」 実った赤ちゃん7匹は、どれも皮がはち切れんばかりにぷっくりしている。 ぷりぷりした赤ちゃんは栄養状態が良い証拠だ。 しかし昨晩、まりさは焦りから、うっかりいつもどおりの食事しかとらなかった。 7匹分の栄養は取っていないはずなのに、いったいどうしてここまでゆっくりしているのだろう。 まりさは頭をひねったが、その答えは分からなかった。 そしてその日の夜、ついに出産の時が来てしまった。 頭の茎に違和感を覚えたまりさは、心がどん底に沈んだ。 殺そうと何度も思ったが、結局殺せずに終わった。 ゆらゆらと赤ちゃんが揺れ、ぽとりと床に落ちた。 「ゆっくちちていっちぇね!!!」 最初に生れ落ちたのは、アリス種であった。 ゆーゆーと微笑みながら、この世の誰よりもゆっくりさせてくれるであろう母に擦り寄ろうと跳ね寄ってくる。 親まりさはその姿に背筋が凍りついた。 あの強姦魔アリスとそっくりではないか。 恐ろしい。 自分はこんな薄汚い子をなぜ産んでしまったのだろう。 絶望の底に後悔の沼が広がる。 「ゆ!おかあしゃん!ゆっくちー!!」 思わず、親まりさは真後ろに跳ねた。 その衝撃で今度は2匹の赤ちゃんが落ちる。 2匹ともまりさ種だ。 「ゆっくちぃ!ゆっくちちちぇいっちぇにぇ!!」 「ゆっくちちていってね!!」 悪魔の産声。 跳ね寄る3匹を親まりさは睨み付けた。 その後も次々と赤ちゃんゆっくりは生れ落ちたが、親まりさは一度も声をかけたり、頬をすり合わせることをしなかった。 親まりさの頭にあるのは、なぜ早く殺さなかったのかという後悔ばかり。 生れ落ちてしまっては、殺すことは難しい。 生を受けた子供を殺しては、今いる群れから追い出されかねない。 7匹を一度に殺す術はない。1匹でも巣穴から出たらおしまいだ。 「ゆぐっ!!?!」 突然、激痛が親まりさを襲った。 痛みの元は口の下、顎の辺り。 7匹の出産でスイッチが入ったのか、胎内の赤ちゃんも生まれようとしていた。 「ゆっぐぉぉおおおおっおおおっ!!!」 身を裂くような痛み。 顎のあたりには小さな穴が開き、それはどんどん大きくなる。 「ゆ?」 「ゆ!いもーとがうまれるよ!」 「ゆっくちでてくるね!!」 お前らの妹なんかじゃない、親まりさは怒鳴りつけたい気持ちでいっぱいだったが穴が大きくなって声も出せない。 「ぐぉおおおおおっおおお!!!ゆぐぐうああああああああっふうううおおお!!」 「おかあさん!ゆっくちがんばって!!」 「ゆっくちだよ!!」 「いもーとがゆっくちでてきてるよ!!!」 もう赤ちゃんは出口付近まで出てきている。親まりさは感覚で理解した。 最後に一度、大きく力を入れる。 「ゆごおおおっ!!!!」 ポン、という乾いた音と共に激痛が親まりさの体から消え、幸福感に包まれる。 「ゆふぅ~」 「ゆ!うまれたよ!!」 「ゆっくちしてるね!!」 「ゆゆー!ゆっくちしたおねーさんだよー!」 親まりさはすぐにパチュリーとの愛の結晶に目を落とす。 紫色の髪が綺麗なゆっくりパチュリーがそこにいた。 「ゆゆ!!!パチュリー!!おかあさんだよ!!ゆっくりしようね!!!」 7匹の赤ゆっくりには向けることのない笑顔で近寄る親まりさ。 しかしすぐに、赤パチュリーの異変に気が付く。 体が異様に小さかった。 生れ落ちた7匹はどれもプチトマトサイズだ。 それは標準的なサイズなのでなんの問題もない。 しかし、この赤パチュリーは普通のトマトくらいの大きさしかなかった。 一般に、人間型の出産をすると1匹がソフトボールくらいの大きさで生まれてくる。 それも2匹か3匹が同時に生まれるものだ。 パチュリーは交尾の最中に力尽きてしまったため、1匹しか妊娠しなかった。 2匹3匹分の栄養を独占するのだから、2倍3倍大きい赤ちゃんが生まれることはあっても、標準より小さい赤ちゃんが生まれるのはおかしい。 「ゆっ・・・!?どうして・・・!?」 答えはすぐに分かった。 不自然に健康的だった7匹の赤ゆっくり。 こいつらが赤パチュリーから栄養を抜き取ったのだ。 茎になっている間は母体と繋がっている。7匹の栄養を吸う力が、パチュリーよりも強かったのだろう。 親まりさは改めて、この7匹の赤ゆっくりが憎たらしくなってきた。 生れ落ちただけでも迷惑なのに、大事な大事な赤パチュリーを未熟児にしてしまった。 もはやこの7匹から、わずかに残っていた母親の愛情は完全に消えてしまった。 「パチュリー!ゆっくりしていってね!!!!ゆっくりしていってね!!!」 第一声を言わない赤パチュリーに親まりさは懸命に声を掛ける。 「ゆっくちちていってね!!」 「ゆっくちちえいってね!!」 釣られていらない子達まで声を掛け始める。 一瞬、親まりさの脳裏に潰し殺す選択肢が浮かんだが、こんなのに構うよりも赤パチュリーを優先した。 「むっきゅ・・・」 「ゆ!!パチュリー頑張って!!ゆっくりしてね!!」 小さな体を懸命に起こし、赤パチュリーは親まりさの方を向く。 「むっきゅ・・・!ゆ・・・ゆっ・・・ゆっくちちていってね!!!」 親まりさは、涙をこらえ切れなかった。 最愛のパチュリーとの間に生まれた子。 この世の全てを敵に回しても、絶対にこの子をゆっくりさせてあげたいと思った。 涙に染まった頬を赤パチュリーに優しくあてる。 赤ちゃんゆっくり特有の弾力性に、心が癒された。 赤パチュリーの笑顔はパチュリーの死も、強姦も、その全てを忘れさせてくれた。 「ゆっくりしようね!ずっと、ずっとお母さんとゆっくりしようねっ!!!」 出産を終え、親まりさはご飯の用意に取り掛かった。 ワラの中では赤パチュリーがお腹を空かせている。 急いで溜めておいた食料を取り出し、親まりさは赤パチュリーの元へと戻る。 「むっきゅうん!おいちい!ゆっくちできるよ!」 親まりさは続けて、ムカデを咀嚼し、赤パチュリーに口移しをする。 「むっきゅ!すごくおいちいよ!」 「おかあしゃん!ぱちゅりーばっかちずるいよ!まりさもゆっくちしたい!」 「ありすもゆっくちしたいよー」 「ありすはおかあさんと すりすりしたいよ!」 一回り小さないらない子達がやってきた。 そういえばまだいたんだね、親まりさはゴミでも見るような目で7匹を見た。 「うるさいよ!!まりさはパチュリーにご飯を上げてるんだよ!!」 びくっと震える7匹。 頬をすり合わせようと近寄っていた赤アリスは体当たりをされてはじき飛ばされた。 「いちゃい!!」 「ゆ!ずるい!」 「アリスもゆっくちちたいのに!!」 「おなかすいたよ!!ゆっくちできない!!」 涙を流して大声で泣く7匹を無視して、親まりさは赤パチュリーにダンゴムシを咀嚼して食べさせた。 「お腹がすいたなら勝手に食べてね!!まりさは忙しいんだよ!!」 未成熟で生まれた赤パチュリーは、ヘタをするとすぐに死んでしまうかもしれない。 親まりさはガラス細工を扱うように丁寧に、ゆっくりと赤パチュリーにご飯を食べさせる。 「むきゅううん!おかあさんだいすき!!」 2匹の笑い声がいつまでも巣に響いた。 続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/827.html
※スレの絵とコメントを見て書いてみた 『新ゆっくり製品販売!あらゆる家具がゆっくりに!?』 そんな広告を見た俺は、どんなものか気になったので見に行くことにした。 加工場が経営している販売所へ向かう。あまりに早く着いたおかげで、まだ開店準備の真っ最中だ。 たまたま店の準備をしていた店員に出会うと、少し早めに見物させてもらえると言う。 そんなわけで中に入ってみた。 が、中にあったのは箪笥やちゃぶ台、本棚といった家具。 ……さて、これのどこがゆっくり製品なんだろう? とか思っていた時だった。 「ゆっくりしていってね!」 突然、俺の近くからゆっくりの声がした。 が、声をしたほうを向いてみると、『木れいむサンプル』とかかれた札。 そして、そこらへんに立っているような木にゆっくりの顔を貼り付けた変なもの。 サンプルの立て札に、ちょっとした紹介と特徴も書いてあった。 要約すると、ゆっくりが出産の際蔓を生やすなら、ゆっくりが花を咲かせられるのではないか? と考えた研究者が実験の末に生み出した新種らしい。 結果としては花が咲くことはなかったが、その代わりがこの木れいむだそうな。 たまたまれいむ種で研究していたそうだが、他の種で可能なのかは現在研究中だとか。 いくつか貼ってある写真には、他のゆっくり研究者達。協賛には永遠亭の名前もあった。 特徴として分かっているのは僅かで 一見普通のゆっくりだが、妊娠して蔓を伸ばしだすと母体のゆっくりも木に変異する。 ある程度木として成長すると、普通のゆっくり同様蔓出産をする。 生まれた子ゆっくりは、一定の成長をしないで潰されると親同様の木として成長する。 くらいらしい。 説明をしばらく読んでいると 「でいぶのからだがあ゛あ゛あ゛!?」 なにやら騒がしい。後ろを振り返ってみた。 「もとにもどじでえ゛え゛え゛!!」 「なんでごんな゛ごどにい゛い゛い゛い゛い!!」 ここでやっと俺は理解した。 つまりこいつらは、この木れいむでできた家具というわけか。 今まで静かだったのは、ただ眠っていただけのようだ。 せっかくなので、製品も観察してみる。 最初に目についた箪笥を見てみた。 五段の引き出しがあり、真ん中の三段目にゆっくりの顔がついている。 展示品は汚さなければ少々いじってもいい、とのことだったので、遠慮なくいじってみた。 「おにいさん……れいむをもどして…………」 そんな懇願を気にせず、一発殴ってみる。 「ゆ゛うっ!!いたいよおにいさん、なにするの!!」 変形しても痛覚は残るらしい。なら引き出しを引っ張ったときはどうなるのだろう。 顔の部分の引き出しを引っ張ってみた。 「ゆ!!おそらをとんでるみたい!!」 ……あれ?てっきり痛がると思ったんだが。 そう思いながら木れいむの顔を観察してみた。 顔は飾りではなく、感覚器官として動いていた。触った感じもこのあたりだけ少し柔らかい。 動けるころの名残かゆっくりが食べられるものも一応食べるらしい。 ふと、ある考えが頭をよぎった。 さっそく実験をしながら、しばらくれいむをなでたりして遊ぶ。 しばらくは俺に気を取られていたれいむだったが、少し落ち着かない様子で 「おにいさん!れいむをもとにもどしてね!!こんなかたちはゆっくりできないよ!!」と言ってきた。 さすがに木れいむの状態に戻すことは俺でもできないため、引き出しを押し込めた。 ……さっきからずっと蹴りをいれた箪笥に。 「ゆぐううううううう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!?!?」 やっぱりだ。こいつは顔のある部分だけ感覚がある。 つまり、顔と他の木の部分を切り離すと、顔は木に受けたダメージを感じない。 だが顔を木に戻すと感覚が繋がってダメージが顔にも伝わるという訳だ。 「いだいよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 痛いのはこっちだ。感触がまんま木なので蹴ったりすれば俺も痛い。 虐待お兄さんなら話は別かもしれないが。 その日、俺は木れいむ製の小さなテーブルを買うことにした。 ここまでさせておいてもらって何も買わないってのは、ちょっと気が引けたからな。 「むーしゃ、むーしゃ……」 使ってみるとこれがなかなか便利だ。 基本的に放置していても平気だそうだが、テーブルにこぼした水や食べカスなんかは口に持っていけば処分してくれる。 虐待したい時には適当に物をぶつけたりすればいつでもゆっくりの悲鳴が聞ける。餡子の始末が面倒という人には、気軽に虐待ができると評判だ。 廃棄するときには、砕いて薪にでもすればいい。 『ゆっくり家具第二弾!!ご要望の多かった小さな家具も実現!!』 そんなチラシをテーブルに伏せると、俺は出かける準備を始める。 その中身を理解したテーブルれいむは、使われだしてから久しく涙を流した。 終 レスを見てすぐに書き出したのにすでに先を越されてた……ゆっくりしないで書いた結果でもこれかよ! このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2011.html
「一匹のゆっくりを捕まえてきた。外伝1」 ※タイトルは前と同じですが、前作を読まなくても大丈夫です。 ※ゆっくりの生態に独自設定があります ※執筆中の第二話用なので あんまり活用はされていません 一匹捕まえたテンプレ****************************************** ゆっくりは饅頭の形をした無尽蔵で簡易な構造の「妖精/妖怪」ではなくて 餡子として食用できる「生物」として扱っています。 それゆえサイズx比重x跳躍力に由来する相応の攻撃力があります。 また普通の生物と同様に、怪我・病気に対して脆弱です。 森に住む草食タイプは30cm 平原で狩りをする虫食タイプは50cmです 基本的な交配は、ぺにまむによる餡子交換、茎・胎生型です。すりすりは前戯にしか使いません。 ぺにぺに、まむまむ、産道、排泄口は別々の器官で一部のものは通常形成されません。 しゃべり方と漢字の使用によって成長が把握できます。 成体「ゆっくりしていってね!ゆっくりしないで ご飯を用意してね!」 子供「ゆっくりしていってね!はやくれいむに ごはんをもってきてね!」 赤子「ゆっくちしちぇいっちぇね!おにゃきゃ ちゅいちゃよ!ごひゃんちょーらいね!」 ************************************************************ ※後半に痛々しいシーンがあります、苦手な方は回れ右してください ~小さな命の誕生から お話は始まります~ 【1.誕生】 「「「ゆっくちしちぇいっちぇね!」」」 文字通り珠(たま)のような子供が細い茎からコロンコロンと誕生した 2.3cmほどしかない10個の玉ころは、れいむとまりさをミニチュアにしたような姿をしている 巣にあらかじめ敷き詰めて置いた藁の上で陽気にはしゃいでいる 「ゆ~ れいむに似て とてもゆっくりしている赤ちゃんだぜ~」 母れいむに笑顔で語りかけるのは父親役である まりさだ 「ゆぅ~ そうだね~ この子なんて まりさにそっくりで ゆっくりしてるよ~」 「れいむは よくがんばったんだぜ! まりさはうれしいんだぜ!」 正直全部同じに見えるが、彼女達は天からの贈り物に涙している この二匹は ごく普通に出会い ごく普通に結婚して それなりに子宝に恵まれた とりとめもないゆっくりの番(つがい)だ 下膨れもなくころころした まん丸の赤ちゃん達に 巣の奥から15cmくらいの これまた れいむやまりさにそっくりな生き物が近寄ってきた 「あかちゃんたち すごいゆっくりしているね! れいむが おねーちゃんだよ!」 「まりさが いちばんうえの おねーさんだよ! かわいいあかちゃんたち まりさと ほっぺた すーりすーりしようね!」 「ゆゆ!れいみゅが おねーしゃんと しゅりしゅり するりょ!」 「すーりすーり しあわせー☆」 「しゅーりしゅーり しあわせー☆」 どうやら この子沢山夫婦には既に子供がいたようで 新しくできた妹達に子れいむと子まりさが すべすべなほっぺを 赤ちゃん達にくっつけて すーりすーりと親愛の挨拶をしていた 「おちびちゃん達! お母さんにも 赤ちゃん見せてね! ほーらお母さんも すりすりしちゃうよ~」 芋の子を洗うような10匹の赤ちゃんと 二匹の子ゆっくりが ほっぺたをすりすりしあう場所に 大きいお母さんれいむが割り込んできた 「まりしゃは おかーしゃんとも しゅーりしゅーりするりょ~!!」 「ずりゅい!れいみゅが おきゃーしゃんと しゅりしゅりするんだよ!」 「おちびちゃんたち すーりすーりすーりすーり~」 「ゆひゃあ!おかーさん くすぐったいよ!」 「ゆー おきゃーしゃんの しゅりしゅり ちょってもゆっくちできるりょ!」 父まりさは、最愛のれいむと子供達が とてもゆっくりして楽しく戯れる姿に胸がいっぱいになっていた 幼い頃に両親をれみりゃに踊り食いされ 餓死した妹を涙ながら食して命を繋ぎ 森でふらんに襲われた時は、姉のれいむが身代わりになってくれた 時には狩りで大怪我をしたり 先に逝った親から教えてもらえることもできずに 口にしてまった毒草で生死をさまよった事もあった たくさんいた姉妹も もう自分しか生き残っていない 姉妹のかけがえのない命が自分を助けてくれた おうちを 両親を 姉妹を失った まさか その自分が家族を持てるとは思わなかった ゆっくりしよう 皆の分までゆっくりしよう きっとお母さんも お姉ちゃんも そう願っているはず ずっーーーーとゆっくりして ゆっくりしきったら お母さん達に会おう その後は 大きくなった子供達を ゆっくり眺めて過ごそう 『さて感動の赤ちゃん誕生を 邪魔して悪いんだが…』 【2.介入】 「ゆゆ!?おにーさんは誰?ここはまりさ達のゆっくりプレイスだよ!!!!!!」 子供達の笑顔に気を取られて、この生き物が近づいてくるのに気が付かなかった 幸い赤ちゃんは既に生まれている もし巣から避難する事態になっても、茎を実らせたままなら れいむは跳ねる事ができなかった しかし今なら生まれた赤ちゃんを五匹ずつ分担して お口の中に隠していけば逃げ切ることができる 「ゆ~?おにーしゃんは ゆっくち できるひちょ?」 「ゆひゃあ!とってもおっきい いきものだよ!れいむ はじめてみたよ」 確かに大きい、れみりゃのように体に手足が生えており その大きさは2ふらん 3ふらんはあるだろうか 子供達が興味を示して近寄ろうとしているのを 父まりさは体で制止した 「おにいさんは ニンゲンだね?勝手に誰かのおうちに入っちゃいけないんだよ?そんな事もわからないの?馬鹿なの?」 「まりさの言う通りだよ!ゆっくり見逃してあげるから 自分のおうちへ帰ってね!れいむは子育てで忙しいんだよ!」 威嚇としてぷくーと膨れる親を見て、何かの遊びだと思って子供達もぷくーっと し始めた 赤ちゃん達は 特に会話を気にせず姉妹同士ですりすりして遊んでいる 中には寝てしまっている赤ちゃんもいた 『んー 赤ちゃんが生まれたばかりなのか…そいつは邪魔して悪かったな、すまん』 「わかればいいんだよ!ゆっくり許してあげるから まりさ達に ご飯をくれるんだぜ!」 「れいむのまりさは寛大だから 見逃してあげるってさ! ご飯を持ってきてくれたら 可愛い赤ちゃんを見せてあげても良いよ」 このニンゲンのお兄さんは"弱い"と父まりさは感じた 本物のニンゲンに直接話した事はないが群れの友達に聞いた話より よっぽど物分りがよさそうな生き物だ それに比べてれみりゃは大きくなっても子供みたいな知能しかなくて 始終「あまあまほしいんだどぅ」とか、「ぷでぃん♪ぷでぃん♪」とか言ってて ちゃんとしゃべる事もできない 子供達があんな風なゆっくりにならないように気をつけようと誓った 『ああ、子供達は見てみたいなぁ。俺は成体ゆっくりしか触ったことないんだよ』 「おにいさんは可哀相なニンゲンだね!たくさんご飯を用意してくれたら、赤ちゃんに すりすりさせてあげても良いんだぜ!」 「ま、まりさ?さすがに すりすりは…」 とんでもない条件に母れいむは父まりさに詰め寄ったが 「ゆ!…ごにょごにょ(大丈夫だよ れいむ このニンゲンは弱そうだから まりさ達のいいなりなんだぜ)」 「ゆゆ!?…ごにょごにょ(さすがれいむのまりさだね!ご飯だけもらって 帰ってもらおうね)」 『よし、じゃあお前ら ちょっと待ってな。なんか見つけてくるから』 そういうとお兄さんは家族から離れて引っ込んでしまった お兄さんが見えなくなるとニコニコしながら夫婦は 「まりさ 今日のご飯は取りに行かなくても大丈夫そうだね!」 「赤ちゃん達も生まれたし、たくさんご飯頂いてやるんだぜ!」 「れいむのまりさは とーーーってもすてきだよ!そこにしびれる あこがれる!」 「ゆっへっへっ///」 「おとーしゃん かっこいーーー!」 「「「かっくいーーーー」」」 家族総出で褒められて照れている父まりさの元に 袋を抱えたお兄さんが戻ってきた 「ゆゆ!?おにーさん随分早かったね!もっとゆっくりご飯を探しに行ってもいいんだよ!」 「そうだよ!なにしろ れいむは 子沢山の 幸せものだからね!!」 『はっはっはっ わかったわかった。これだけあればいいか?』 ドザァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!! 「「「ゆゆ!?」」」 父まりさ達が驚くのも無理はない お兄さんが、巣から離れて1分くらいしか離れていない こんな短期間で用意されたものは、山のようにある野菜や食べられる花などだ 「す、すごいね おにーさん!さすがのまりさも びっくりしたよ…」 「ゆひゃあ!おにーしゃんは すごうでの かりゅうど なんだね! れいむ しってるよ!」 「おにーしゃんは かりゅうーど にゃんだね!れいみゅ しってるりょ!」 「あかちゃん! あかちゃんがしっているわけないでしょ! おねーちゃんのまねしたら めーだよ!」 親がびっくりするその量だ 子供達が度肝を抜かされるのもしょうがない 今まで見たことのない 山のようなご飯 きっとお腹いっぱい食べても尽きないだろう これだけあれば相当ゆっくりできる しかし幾多の危険を乗り越えてきた父まりさは違和感を感じ取っていた 「これは…おにーさんが 採ってきたご飯なの?」 『おいおい失礼だな これは全部お兄さんが用意したもので 誰かのものなんかじゃないよ』 「そ、そうなんだ…ゆっくり理解したよ…」 まりさはゆっくり達の中でも「凄腕の狩人」と呼ばれるくらい 狩りや採集の名人であり、その賞賛を子供達が覚えていたのだ しかしその通り名がひっくり返るぐらいお兄さんがもってきたご飯の量はすごかったのだ 「ありがとうなんだぜ…」 「ま、まりさ おにーさんはニンゲンだから すごいんだよ! れみりゃよりも おおきいんだから!」 「そうだね ニンゲンはすごいね…」 「まりさは一番だよ!ゆっくりの中では一番なんだよ!ゆっくりはゆっくりのモノサシで考えればいいんだよ!」 落ち込んでいる父まりさに気づいた母れいむは必死にフォローをし始めた 「れいむ達が飛べないからって 蝶々さんに負けたことにはならないでしょう?」 「ゆへへ、そうだよね。まりさは空を飛べないよ。蝶々さん以下だね。馬鹿だね。死ねばいいのに」 だぜ口調の抜けた父まりさの瞳は地面だけを映している 「馬鹿!!!!」 ばしーん 「ゆぎ!?」 母れいむが 父まりさを モミアゲでぶったのだ! 「まりさの馬鹿ぁ! れいむはね! れいむはね! いつも自信満々で どんな事にも向かっていくまりさが好きなんだよ!」 「いつも成功したわけじゃないけど いろんなゆっくりできないことがあっても 絶対あきらめない まりさが大好きなんだよ!」 「だから! だから! れいむが大好きなまりさに戻ってよ! れいむが!子供達が!大好きなまりさに戻ってよ!!!!」 そうか 自分は間違い犯していた 幼い頃から孤独と飢えに苦しんでいた自分は 他のゆっくりの存在を認められなくなっていた なによりも自分が生き残らなくてはならない 両親と自分のために命を捧げてくれた姉妹達にも 自分は誰かを裏切っても生き続ける そんな昔の自分に戻ってしまっていた しかし、ソレは あの時捨てたんだ 傷だらけのまりさを愛してくれた れいむ これからは このれいむと一緒に歩んでいこう 今までは急な崖を駆け上がるような人生だった しかしこれからは れいむといっしょに ゆっくり歩いていく もしもれいむが転んだら助けてあげる もしも自分が転んだられいむに助けてもらう もう自分は自分だけのものではない 自分の一挙一動が れいむのため 子供のため 赤ちゃん達のためなのだ わかったよ れいむ ありがとう こんな まりさを愛してくれてありがとう 「だぜぇえええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!」 「ままままままま、まりさ!?」 「おとーさん どどどうしたの!?」 「「「おとーしゃん ゆっくちしちぇえええ!」」」 家族全員が目が点になった そう、父まりさの折れた心が復活したのだ 瞳には燃えるゆっくり魂が輝いている その背中には父の貫禄があった 「ゆへへへー!ニンゲンのおにーさん!おいしそうなごはんを ありがとうね!」 くいっと帽子を揺らすと お兄さんを睨み付けた 「さっさとまりさ達のおうちから 出て行ってね! もう用済みなんだよ! 痛い目に会いたくなかったらゆっくりしないで―――――」 『いやココ 俺の部屋だし』 「ゆ!?」 【3.事実】 「今なんて言ったのお兄さん?まりさにわかるようにゆっくり説明してね?」 「まりさ!馬鹿なニンゲンの言うことなんて信じちゃいけないよ!」 『俺の家です、ココ』 真顔のおにーさん、いつのまにか赤ちゃんを拾って菜っ葉を食べさせている 「おにーさん!嘘をついたらいけないよ!ここはまりさが見つけたゆっくりベストプレイスなんだよ!」 『ふーん、どうやって見つけたの?君が前に住んでいた所から だいぶ離れているけどさ』 「まりさが原っぱでお昼寝していたら、いつのまにかここの前に……ゆ? なんでお兄さん、前のおうちの場所知ってるの?」 まりさが父親として燃えたのも5秒だけだった だぜ口調は影をひそめ、三角帽子は斜めに傾いている 『教えてやるよ』 お兄さんは、赤ちゃんを撫でながら語り始めた 『一匹のゆっくりを捕まえてきた。』 『これが滑稽な事に、野原で仰向けになって寝てやんの』 『野犬なり鷲でも襲い掛かったら、あっという間に連れ去られるだろうがってやつ』 『それはそれで爆笑するけどさ、もっと面白いこと思いついたわけ』 『眠ったお前を拾ってきて、家の前に置いてみたんだ。近くにあった小石を投げるつけて起こすと どうだい』 『ここをまりさのゆっくりプレイスにしようって言うやいなや、すたこらさっさと帰っていったさ』 『案の定、家族を連れてお引越しだ』 『びっくりしたのは身重の伴侶まで連れてきたことだ、その弱そうな茎が折れるとか考えてなかったの?』 『これから生まれる家族より、自分の方が大事だったのかな?』 『いっぱいご飯持ってきてびっくりした?自分の無能さに落ち込んだ?こんな量の食料なんてすぐ用意できるはずないじゃん』 『これは元々家にあったやつだよ?わからなかったの?馬鹿なの?死ねば?』 「 黙 れ ぇ え え ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ え ぇ え ぇぇ え え え え !!!!!!!!」 ゆっくりにあるまじき怒声に 赤ちゃん達は固いボールになって床を転がり 子ゆっくり達は租借していた美味しいご飯を口からボトボトと垂れ流し 母れいむは無言だった 「ここは! まりさの!! ゆっくり!!! ぷれいす!!!! だ!!!!!」 『…』 お兄さんは気絶している赤ちゃんを手の平で転がして遊んでいる 「まりさ…本当なの? れいむに嘘ついたの? 何度も聞いたよね? こんな大きいおうちが ニンゲンのものじゃないのかって」 『…』 「れいむは 黙ってて!その答えは…今、出すから!」 『…お前、だぜ口調どうしたの?』 まりさは怒りに震えていた 同時にかけがえのない家族を危険に晒したことを後悔した 騙された 騙されてしまった だが、失敗は やり直せばいい そう、間違えは 正せばいい そうだお兄さんがいなくなればいい 「おにーさん…ここは…まりさの…ゆっくりぷれいすなんだ…………ぜ」 先ほどまで目が泳いでいた父まりさは 何処かへいなくなった ずり落ちいてた帽子を目深にかぶり、口元はきつく結ばれた 『ほう…そうか…』 『ならば、真のゆっくりぷれいす所持権を賭けて……ヤってるやるよ』 『道具は使わない…』 ひざの上で気絶したままの赤ちゃんをそっと床に下ろすと お兄さんは立ち上がった 「…」 「ま、まりさ…」 心配する母れいむをよそに、父まりさは分析していた 大きい ニンゲンは大きい れみりゃやフランより大きい背丈に長い四肢 また れみりゃの様に幼稚でもなければ フランのように単純な虐殺者でもない あの腕に掴まれたら最後だろう 跳ねる事も噛む事もできず拾い上げられて 頭から食べられてしまうだろう しかしニンゲンは羽根がないので飛ぶことはできない ということは徒歩で接近してくるはずだ 父まりさは一人で生きていくうちに れみりゃを撃退する業を身につけていた もちろん掴み投げられたり 引っかかれたりしたらオシマイだ しかし一撃必殺のカウンターを開発していた その瞬間は難しい まず跳ね続けて相手を誘う れみりゃが自分をキャッチして抱え…爪が入る前に 腕と手のひらを利用して顔面に体当たりをする タイミングは刹那だ また瞬間跳躍のために 事前に空中で縮んでおかなければならない しかし成功すれば 「ゆぎぁああ!!いだいんだどぉ!!!!じゃぐゃああ!!!!おがおが いだいんだぉおおおお!!!!」 父まりさは 食いしばった奥歯が欠けるのを感じた 【4.決闘】 『来いよ…』 「ゆぅぅぅぅぅぅぅぅ」 おにーさんと父まりさの距離は2メートル この距離では何も始まらない おにーさんは道具を使わないといっているが 既に一度騙されている 近くにある物でも投げつけられれば 家族に被害が出てしまう おにーさんが距離をつめてこないを確認しつつ 50cmの距離までにじり寄った 父まりさは虫食タイプの40cm 饅頭とはいえ直径40cmの全身餡筋肉の塊である 裂く攻撃には弱いが、森や平家を駆け巡った底面は硬く分厚い 茂みで傷だらけになり、何度も崖から落下した頭も強度を増している 「おにーさんは馬鹿だね?手足があるからって有利だと思ってるんでしょ?その大きな頭でよく考えてね?」 ぽゆーん ぽゆーん ぽゆーん ぽゆーん ぽゆーん ぽゆーん ぽゆーん 『…』 必殺の距離までつめた父まりさは、おにーさんの腰くらいまで軽いジャンプを繰り返す もちろん往復する度に力をこめるのを忘れない 「こんな素敵なゆっくりプレイスを 教えてくれてありがとうね!まりさ達が ゆっくり使ってあげるよ!」 ぽゆーん ぽゆーん ぽゆーん ぽゆーん ぽゆーん ぽゆーん ぽゆーん ぽゆーん ぽゆーん ぽゆーん ぽゆーん 『…』 挑発を繰り返すまりさの目だけは 笑っていない おにーさんが れみりゃのように掴みかかってくる一瞬を逃すつもりはない 「まりさは!ゆ!群れで!ゆ!いちばん!ゆ!つよ!ゆぅ!いんだ!ゆぎぃぃぃ!」 ぽゆーん・・・ぽゆーん・・・・ぽゆーん・・ぽゆーん・・・・・・ぽゆーん・・・・ 『…』 これはマズイ おにーいさんが手を出してこないとは思わなかった もうこれ以上空中で力をこめることはできない 一旦引いて 出方を見るか? いやおにーさんは まりさの跳躍力に驚いているだけかもしれない 「おにーさん!まりさの!ぴょんぴょんに!びっくりし!…い!?」 ビュ!!!!! おにーさんの上半身が後ろに倒れる まりさはまだ攻撃していない それともまりさの気迫におにーさんは気絶してしまったのだろうか なんてことだ 数々の れみりゃに逆襲していたまりさは ついにもっと大きいお兄さんすら 凌駕する力を身に付けていたのだろうか なんて事を考えていたので まりさは底面から迫り来る物体に気が付くことができなかった 風圧を感じたときには遅かった 父まりさは すでに落下を始めており 反対方向から上ってくるつま先に対して防御する手立てがない 中枢餡子からあんよへ向かって、「固くしろ」という命令はたどり着くこともなく まりさの底面のど真ん中に突き刺さった そのまま振りかぶられたトーキックは まりさを天井に打ち上げ 部屋の真ん中にぶら下がっていた空っぽのランタンを鳴らすと くるくる回る座布団のようなものは 母れいむの目の前に着地した ボジュッ 空気の代わりにぬかるんだ泥水でも詰めた様な風船が落ちる音 その変な異音に母れいむは怯え、子ゆっくり達を下がらせて赤ちゃん達に呼びかけた 「あ、、あか、、、ぁか、、、ち、、、」 父まりさの耳には、震えるれいむの声が鳴り響いていた れいむが応援してくれている 不覚を取ってしまったが 今 間違いを理解した おにーさんはニンゲンなんだ 掴みかかってくることはない 蹴って来るんだ もう理解した ゆっくり理解した 同じ間違いはしない まずは態勢を整えよう このまま追撃されたら駄目だ ここで自分が負けてしまったら たくさんの子供達が住めるおうちがなくなる れいむや子供達にご飯をたべさせてあげれない 子供達に教える事がたくさんある どんなにれみりゃがおそろしいものか おとーさんがどれだけ大変な生き方をしてきたのか きっと大人になったら 理解してくれるだろう その時には自分は もうずっとゆっくりしている状態かもしれない だけど わかってくれたらいい それだけで自分が今まで歩んできた価値があるんだ おとーさんの背中を 父親の生き方を 見せなくてはいけない 『ちょ、お前 ふざけるなよ。人の家の中でそんなもの垂れ流すなよ…』 「…ゆ!?…」 まだ目が利かない、聴力は回復したのだが 視点がおぼつかない これはまずい 早く起き上がろう 「ゆぅ?…くさい! おとーさん くさいよ! なにごりぇ! くさいぃ!」 子まりさが騒ぎ出した くさい?何の事だろうか 今までの場面でくさいものなんてなかったはずだ おにーさんが用意したご飯には変なものはなかったはずだ もしかして、赤ちゃん達が粗相を? きっと恐怖から漏らしてしまったんだろう しかしそれは後回しだ 「くちゃーい!おとーちゃん くちゃいりょ! なんじぇ うんうん おもりゃしすりゅのぉ!?」 なん・・・だと・・・・? 「ま、まりさ、ど、どうしたの!? なんで今うんうんしてるの?!そんな事してる場合じゃないでしょう!?馬鹿なの!?」 父まりさは、片目で自分の底面を見た あごの辺りに 大きな穴が開いており そこから明らかに自分の餡血流や内臓餡子とはちがう やや明るい茶色をしているデロデロの餡子と 汗とは違う薄茶の液体にまびれていた おにーさんの放った蹴りは 父まりさの底面から内部を圧迫し ランタンに激突した事により まりさの顎は切り裂かれ 本来その時まで蓄えられているはずの腐敗した古い餡子のうんうんや 毒素や余剰水分であるちーちーが体外へ、ひり出されてしまっていた それも量が半端なものではない 元来貯め切れなかった量を排出するはずなのに 体内に蓄積されていた全てが露出してしまったのだ うんうんとちーちーが溶け合った濁った水溜りに 父親は愕然としていた 痛みより先に襲ったのは 深い恥辱 これから子供達に父の雄姿を見せなければならない 今日の戦いは 子供達に勇気に繋がるだろう だから だから、くさいうんうんとちーちーに浸っている場合じゃない 「まりさぁぁぁあ!なにやってるのぉ!!!おもらししてないで!はやくおにーさんをやっつけてよぉぉお!!!」 「・・ゅ・・・ぃ・・・・」 内臓が弾けるという深刻なダメージは、まりさから声を失わさせていた 「くちゃいぃ!はなが もげるよ!ゆっくりできないよ! くさいおとーさんは どっかいってね!もうおうぢがえる!!!」 騒ぎ続ける子まりさに父まりさは 口をパクパクさせる まりさは おとーさん だいすき だよね いつも いっしょ だよ どこにも いかない からね おうちは ここだよ もうすぐ みんなのおうちに なるよ 「もうまりさぁ!早く起きてよ!帽子もへんな形になってるよぉ!?かっこわるいぃぃい!こんなの まりさじゃないよ!」 あれ あたまが そういえば すーすー するよ おかしいな ぼうしの つばは みえるのに おうちの てんじょうに ぼうしの さんかくが つりさがって いるよ 『なにこれ 超レアだな シャンプーハットまりさ どこいったんだよ帽子部分wwww』 『うわ、ちぎれてぶら下がってるよ これだけだと帽子だか なんだかわかんねーよ つか大丈夫か?w』 おにーさん が くる ぼうし まりさのぼうし ぼうし がないと ゆっくりできない あれ でも ぼうし は いましてるよ ? あれは だれの ぼうし ぼうし? ぼうしって なんだっけ あ おにーさん そのまま こっちにこないで ふんじゃう ふんじゃうよ あかちゃん ぷち ぷち するよ ぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷち いっぱい ぷちぷち したね たのしそう まりさも ぷちぷちして ゆっくりしたいよ 『おーい、白目剥くなよ 意識ありますかー? 見えますかー? 見えたら避けてくださいねー』 バチン! お兄さんは父まりさのおめめにデコピンをした 潰れるかなって思ったら なんと眼球はその穴の中でスピンして一周した 『ああ、なら目を回してもしょうがないね』 『次は何をしようか?』 このSSに感想を付ける